佐々木五段が藤井四段を初めて撃破した作戦とは…


公式戦歴代最多記録となる29連勝を、デビュー以来無敗で達成した藤井聡太四段(14)が2日、東京・将棋会館で行われた、竜王戦決勝トーナメント2回戦で、佐々木勇気五段(22)と対局。佐々木五段に敗れて公式戦初黒星を喫し、連勝は29で止まった。佐々木五段の気迫あふれる指し回しの前に、藤井四段は中盤から劣勢に。得意の終盤でもその差を詰められず、プロとして初の屈辱を味わった。佐々木五段は「積極的に勝ちに行った」と満足げに語った。
 大一番にかける執念が、若きスターを打ち砕いた。藤井四段に公式戦初黒星を付けた佐々木五段は対局後、「今回は結果が求められる勝負だと思っていた。内容重視にすると勝てない相手だと思っていたので、積極的に勝ちに行きました」と喜びをにじませた。
 16歳でプロ入りし、将来の名人候補との呼び声も高い佐々木五段。昨年5月には、愛知県岡崎市で行われた「将棋まつり」でプロデビュー前の藤井四段に勝利した。だが、プロ入り後に連勝を続ける藤井四段に対し、過去のイメージは捨て去り万全の対策を練った。
 藤井四段が29連勝を達成した6月26日の竜王戦決勝トーナメント・増田康弘四段(19)戦を観戦した際の眼光の鋭さは、大きな話題となった。この日は報道陣に囲まれながら「この環境になれようと、藤井さんの対局は何回か見に行きました。それも今となっては良かったなと思っています」と笑顔で“作戦勝ち”を明かした。
 同世代の棋士が次々と藤井四段に屈する中、「私たちの世代の意地もちょっと見せたいなと思っていましたので、壁になれたのは良かったなと思います」とほほ笑んだ佐々木五段。藤井四段に対しては、「これだけ連勝できるっていうのは、記録を塗り替えたいという意気込みより、もっと上の目標、志があるのかなと思う」とたたえた。
■藤井聡太四段 ついに敗れる、プロ初黒星
公式戦歴代最多記録となる29連勝を、デビュー以来無敗で達成した藤井聡太四段(14)が2日、東京・将棋会館で行われた、竜王戦決勝トーナメント2回戦で、佐々木勇気五段(22)と対局。佐々木五段に敗れて公式戦初黒星を喫し、連勝は29で止まった。佐々木五段の気迫あふれる指し回しの前に、藤井四段は中盤から劣勢に。得意の終盤でもその差を詰められず、プロとして初の屈辱を味わった。
 伝説の第1章が、ついに終わる時が来た。昨年12月24日、竜王戦6組ランキング戦で、先月20日に引退した加藤一二三九段(77)との対局でスタートした連勝は、約半年の時を経て、29でストップした。
 藤井四段は対局前、今年度(4月以降)だけでも19戦19勝という戦績。3カ月で20回目の対局は、2位を7回も引き離す圧倒的な数だった。さらに、愛知県在住の藤井四段にとって、中学に通いながら東京や大阪に出向いて行う対局は、大きな負担。「対局には慣れてきました」と話していたものの、心身ともに重なった疲労は隠せなかった。
 加えて、相手の佐々木五段の“打倒・藤井”の執念も、ただならぬものがあった。自身も16歳でプロ入りし、将来のタイトルホルダー候補の呼び声の高い存在。藤井四段が、29連勝を達成した6月26日の竜王戦決勝トーナメント・増田康弘四段戦を観戦した際の眼光の鋭さは、将棋ファンのみならず、世間的にも大きな話題となっていた。
 プロとして初めて味わう敗戦の味。それでも、藤井四段が作った伝説が色あせることはない。姉弟子の室田女流二段(28)によると、杉本七段は藤井四段がプロ棋士になった際に「イベントなどで将棋の普及をするのではなくて、将棋に勝ってタイトルをとることが一番の普及」と話していたという。その言葉に応え、すでに社会現象と言える将棋ブームを巻き起こしている藤井四段。師匠の言葉を胸に、敗戦をバネにしてさらなる高みを目指す。