初音ミク×獅童の恋「超歌舞伎」


「おミクさんも1年たって踊りが本当にうまくなられて、天才じゃないかなと思います」

 デジタル総合イベント「ニコニコ超会議2017」の目玉企画、超歌舞伎「花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)」に出演した歌舞伎俳優中村獅童さんが、共演したCGキャラクター、初音ミクさんについて語った言葉です。

生身の人間とバーチャルアイドルが舞台空間で共演するという斬新な試みで、昨年「君の名は。」「シン・ゴジラ」を押さえて「デシタル・コンテンツ・オブ・ザ・イヤー」大賞など3冠に輝いたコンテンツの第2弾。デジタル技術の進化により、ミクさんの踊りもレベルアップしての再降臨となりました。

 今回の演目は花街を舞台にした悲恋で、ミクさん演じる花魁(おいらん)の初音太夫が「ああ、もし。それなるお方~」と舞台に登場。多少ぼんやりしているものの、透過型スクリーンに投影された太夫は、客席からは本当に三次元のように立体的に見えて、2人の息の合った踊りが幻想的な味わい。後半は一転して、立ち回りのスペクタクル。舞台上の俳優の姿を抜き出して5人の分身の術のように見せる被写体抽出技術や、総延長36メートル、240台のスピーカーで客席に音を落とす波面合成技術など、日本初の挑戦で圧倒しました。

 客席の熱気も感動的。圧倒的にデジタル世代の若者が多く、サイリウムを振りながら「萬屋!」「初音屋!」と屋号で掛け声をかける歌舞伎のお約束を楽しんでいる感じ。獅童のあおりに「うおーーーー」と大歓声で応え、敷居の高さとは無縁です。最先端テクノロジーを提供するNTTをねぎらい「電話屋!」という“屋号”がどっと寄せられるのも新鮮。「歌舞伎も江戸時代の現代劇だったわけで、常に庶民のものなんです」という獅童の願いがひとつの形になっていて、何でも飲み込んで表現に変える歌舞伎400年の底力に心躍りました。

最後は、郭(くるわ)ごと炎に落ちる壮大な展開。鎮めようと、愛する人の妖刀をとって立ち上がる初音太夫が切なく、バーチャルなのにぐっときました。スローガンだけで終わる「アナログとデジタルの融合」も多い中、互いの持ち味が何倍もの魅力を生む超歌舞伎の光景は感動的。「融合」のキーワードが、久々にハッピーに感じられました。