女子高生のソックス事情


女子高生の足元は、常に流行がつきまとう。よく目にするようになった、ソックスがくるぶしあたりにクシュッとたるんだ様子は、だらしないのではなく、どうやら「カワイイ」らしい。制服のスカート丈とのバランスもあるそうで……。女子高生ソックス事情を追った。

 駅のホームに立つ放課後JK(女子高生)。ふと足元に目を落とすと、紺のソックスがくるぶしあたりにクシュッとたるんだ状態になっていた。うららかな日のこと、部活終わりなどで単に暑いのか、はたまただらしないコなのか。

 そんなことを思っただけだったが、その後も街で幾度となく「下げてはく」JKを見るようになった。よく見れば、最初から短いソックスをはいているコもけっこういる。

 だらしないわけではない。これがカワイイからなのだ。

 1990年代なかば、爆発的に流行したルーズソックスの流行が一段落し、紺のハイソックスが定着。15年以上ゆるぎない定番ファッションかと思っていたが、JKソックス事情は微妙に変化していたよう。

 プリントシール機やスマホ向けアプリの開発などを行うフリュー社の「GIRLS,TREND 研究所」が昨年、JKを対象にした意識調査を行ったところ、「制服の靴下は何が流行(はや)っている?」という問いに対して、44.2%が「短め」、「くしゅくしゅ」が30.5%と、実に4分の3を占めた。ハイソックスと回答したのはわずか15.6%(グラフ参照)。同研究所の稲垣涼子所長は語る。

「イマドキ女子高生は、紺ハイソックスをクシュクシュさせ、ふくらはぎの太い部分でとめるのが当たり前、という流行が数年前に生まれ、その後、たるませずに最初から短めのものをはくコも出始めました」

 短めソックス流行の理由は?

「私服ファッションでの短めやクシュクシュソックスの流行に加え、制服のスカート丈の流行もあると思います。以前より少し長めのひざ丈がカワイくなった。そうすると、ハイソックスをはいたときに、脚が見える部分のバランスが悪くなってしまいます」

短めソックスの流行は、ルーズソックスや茶髪、ギャルメイクといったドラスティックな変化とは違い、ゆるやかに広がったものだと稲垣所長は言う。

「ガウチョパンツや太眉の流行もそうですが、近年は、流行に敏感な人から徐々に広がって、長い時間をかけて大きく変化するという傾向があります。変化し続ける必要はありますが、変化が急激すぎるとついてきてもらえないのです」

 ソックスが急にクシュクシュしたのではなく、“じわじわ変化”に気づいていなかっただけのようだ。

 実際に渋谷の街に出てみると、ハイソックスのコもいるが、短めソックスはもちろん、そしてクシュクシュソックスのコも、けっこういる。

 学校指定のソックスをたるませているコに話を聞くと、

「学校では、ちゃんと上まで上げてはかないと怒られるんですけど、放課後になったら下に下げてます」(都内私立・高3)

「学校指定から短いのにはき替える」(都立・高2)

 というコも。なぜわざわざ下げたり、はき替えたりするのか。

「ハイソックスはダサい」(都内私立・高2)

 シンプルな答えだった。なかには、

「最初から短いのはいてます」(千葉県私立・高2)

 すでにハイソックスを知らないJKたちも存在するのだ。

「短め」「クシュクシュ」支持の理由は、「脚が細く見える」「脚がキレイに見える」。または、「みんなはいてるから」。

「ただ、紺のハイソックスが流行したときも、理由は『脚が細く見えるから』でした。ルーズソックスも、そのボリューム感で『細く見えるから』(笑)。見た目は違う流行なのに、理由が同じなのがおもしろいです」

 ベストセラー『東京女子高制服図鑑』シリーズなどの著者、森伸之さんはそう言う。

 90年代から2000年代にかけて、東京の女子高生には暗黙の「ドレスコード」が存在していたと森さんは分析する。

「特に90年代なかばに起こった、女子高生ブーム。『女子高生的な』スタイルに注目が集まり、より女子高生らしく見える、見られたい、そんな意識の高まりで、みんな同じ格好になっていきました。制服のときには必ずローファーを履く、リュックではなくスクールバッグで。ハイソックスが流行れば、みんなできっちりハイソックスをはく。校則ではなくて、自分たちのなかに、『女子高生はこういう着こなしをすべきだ』という強烈なドレスコードがありました」

わざわざ制服っぽい服を着て遊びに出かけたりする「なんちゃって制服」も、この“女子高生的なもの”の価値観が生んだ流行だ。

「80年代ぐらいまでの、制服は着せられるものという存在から大きく変わった時代です。現在は、制服っぽい格好は相変わらず人気ですが、絶対にこのスタイルじゃなければ、という意識は薄れています。リュックだったりスニーカーを合わせてみたり、好きな着こなしを楽しむように変化しています」

 短めソックスやクシュクシュソックスの流行は、その結果ではないかという。

 ソックスをたるませてはく流行は、90年代はじめ、ルーズソックスが流行する前の雰囲気に少し似ていると、森さんは言う。

「当時、スポーツソックスをたるませてはくのがカッコいいと、青学(青山学院高等部)のコたちが始めたのが最初です。そのころの雰囲気に近い印象はありますね」

 前出の稲垣所長は、ルーズソックスに関しては、「JKぽさ」を最大限に強調するコスプレアイテムに変化しているという。

「テーマパークに行くときなどに、コスプレ感覚ではくコはいますね。そういうときだから、あえていつも以上に『女子高生ぽく』といったノリのようです」

 クシュクシュ流行りとはいえ、まさかのルーズソックス大復活とはなりにくいのではと森さんは言う。

「ハイソックスの上から重ねばきするように着こなし、一部で『保存会』のように残ってはいるのですが(笑)」

 というのは、

「当時、ルーズソックス対策として、『白』とか『紺』といったあいまいな校則ではなく、校章のワンポイントが入ったりするような、学校指定のソックスを採用する学校が増え、ルーズソックスは一気に減少しました。学校指定のソックスをたるませることはあっても、再びルーズソックスをみんながはくという状況は起こりにくいですね」

 進学・進級の季節。ビシッとした真新しい制服に身を包みながらも、ソックスは、「クシュクシュ」してたりする女子高生も多いだろう。この流行、どこまで続くか。