「朝鮮人虐殺」を内閣府から削除


江戸時代以降の災害の教訓を将来に伝えるため、政府の中央防災会議の専門調査会がまとめた報告書を、内閣府がホームページから削除していることがわかった。一部に関東大震災時の「朝鮮人虐殺」についての記述が含まれており、担当者は「内容的に批判の声が多く、掲載から7年も経つので載せない決定をした」と説明している。

削除されているのは、同会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」(2003~10年度)が作った報告書。過去の大災害について、被害や政府の対応、国民生活への影響などを整理し、教訓をまとめている。

09年に作成した関東大震災についての報告書の第2編では、「殺傷事件の発生」(計15ページ)として朝鮮人虐殺を扱っている。内閣府によると、この内容について「なぜこんな内容が載っているんだ」との苦情が多く、4月以降のホームページの改修に合わせ、安政の大地震や雲仙普賢岳噴火などを含め、すべての報告書の掲載を取りやめることにしたという。
「担当部局内での判断」だとし、順次削除を進めている。掲載していた資料は今後も保管され、希望者にはメールでの配布を検討するとしている。
「殺傷事件の発生」では震災全体の死者・行方不明者が10万5千人を超え、このうち殺害による死者数を1~数%と推計。収集した史料などをもとに「官憲、被災者や周辺住民による殺傷行為が多数発生した。虐殺という表現が妥当する例が多かった。対象となったのは、朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人も少なからず被害にあった」などと指摘。「大規模災害時に発生した最悪の事態として、今後の防災活動においても念頭に置く必要がある」と記している。