スプレー女「で山本涼介とノーブラで追いかけっこしたの」


「ノーブラで追いかけっこした」。西武新宿線高田馬場駅の異臭事件は、逮捕された女がインターネット上で“異様な”発言を繰り返していたことが明らかとなった。あらゆる人物に敵意をまき散らし、AKB48ら芸能人を「ブス」と切り捨てる一方、俳優と交際しているかのような妄想も展開。捜査関係者は渦巻く罵詈(ばり)雑言と無差別的な犯行の因果関係を探っている。

◆テロか!? 高田馬場駅の構内騒然、9人搬送
「テロ」の二文字が乗客や捜査関係者の頭をかすめたに違いない。9月28日午後5時45分ごろ、帰宅ラッシュでごった返す西武新宿線高田馬場駅ホームで、電車待ちの人たちがせき込む声が響き渡った。
「ホームで刺激臭がしてせきが止まらず、目が痛い」。駅の事務室に駆け込んだ乗客は駅員に訴えた。驚いた駅員がホームに行くと、約20人ほどの男女が同様の症状を訴えていた。
駅から通報を受け、パトカーや消防車が次々に駆けつけた。テロの初動捜査などに当たる警視庁公安機動捜査隊や、防護服を身につけた消防の救助隊も到着し、現場は騒然とした空気に包まれた。駅前交番の周辺にはビニールシートが張られ、次々と症状を訴える被害者が運び込まれた。
交番付近で友人と待ち合わせ中に騒動を目撃した男子大学生(21)は「ぐったりした女の人が運び込まれていた。消防の人も普通とは違う服で救助していたし、『のどの痛み』と叫んでいる声が聞こえたので、テロがあったのかと思って怖かった」と当時を振り返る。
しかし、結局はテロではなかった。目撃者の証言から浮かび上がったのは「黒い日傘の女」だった。

◆ホームでただ1人「静観」 改札記録などで特定、スピード逮捕
捜査関係者によると、駅の防犯カメラは、駅構内が大混乱となる中で、一人だけ特異な動きをしている人物をとらえていた。
黒い日傘を手に、赤っぽい上着に黄色いスカートの女。乗客や警察官が行き交う中で、この女だけは騒ぎをじっと見守っているかのように落ち着き払ってたたずんでいたという。
この女は怪しい-。
捜査員らは被害者らにも確認し、女の身なりが目撃情報と矛盾しないことを確認。改札の記録などから、この時間帯に高田馬場駅にいた可能性が高いことも確かめた。乗車記録を調べると、女が西武新宿線沿線に住む女とも分かった。
並行して警視庁は被害者にかけられた液体の成分も解析。毒物のようなものではなく、痴漢撃退などに使われる催涙スプレーのような成分だと割り出した。
事件発生からわずか3日後の10月1日、戸塚署は練馬区に住む女性容疑者(36)を逮捕した。

◆ネットで謎発言連発…花火大会の警備強化も「私のため」
スピード捜査であぶり出された容疑者だが、捜査の過程では別の一面も明らかになった。
本名でツイッターに登録し、さまざまな芸能人などに罵詈雑言をあびせる一方、芸能人と付き合っているかのような妄想も披露していたのだ。
《おばさんブス》。ツイッターには「ブス」という単語がこれでもかというぐらい並ぶ。手当たり次第に芸能人を切って捨て、“被害者”には小池百合子東京都知事も含まれる。
よほど自分の容姿に自信があるのだろう。ツイッターでは「如月優」という芸名でアイドルを自称し、さまざまな俳優との「付き合い」もアピールしている。

9月1日には《昨日夏休み最後の日にノーブラの私を山本涼介君が追いかけて私もノーブラで山本涼介君を追いかけっこしたの》。仮面ライダーシリーズの俳優の名前も挙げていた。
7月31日には、隅田川の花火で警視庁が警備態勢を強化したことについて、《プリンセスの私の為に厳戒警備態勢》と言及。容疑者の頭の中では、すべてが都合良く解釈されていた。
舛添要一前都知事の辞任騒動をめぐっては《ニューヨーク・タイムズでマスゾエ知事の記事で私のこと可愛いって書かれたの》とはしゃぎ、天皇陛下が生前退位の意向を示されたことについては《平成の次も私がナンバーワン美少女だから、陛下は安心して下さい!》と謎の美女宣言。ツイッターでは向かうところ敵なし、といった状況だ。
そんな頻繁だった更新も事件4日前の9月24日を最後に途絶えていた。事件前にどんな心境の変化があったのか。事件について容疑者は「高田馬場駅には行っていない」と容疑を否認しているといい、戸塚署が動機の解明を進めている。