亀田興毅をKOし逃した暴走族の元総長


プロボクシング元3階級王者、亀田興毅氏(30)が10日、ブログを更新。7日に行われたAbemaTV開局1周年記念スペシャル企画「亀田興毅に勝ったら1000万!」で、一般公募で選ばれた暴走族の元総長ユウタ(33)との試合を振り返った。

 「最後に登場した漢は会見の時からヤル気満々!! 会見場には特攻服で堂々と乗り込んできて全身にはアート。そして いきなりメンチ切り」と1日に行われた調印式でにらみ合いを展開し、「何のオーラも感じなかった」と吐き捨てた相手に苦笑いを浮かべた。

 3分3回で対戦したがKOできず、興毅氏にとっては不完全燃焼の形で終わった。「聞くところによると総合格闘技の経験があって、全くの素人という訳では無かった。4試合目とあってなかなかの疲労感と足が攣っていて動けない中でのユウタ選手はキツかった…」と分析した。

 また「彼は格闘技経験者だけあってダメージを軽減させる打たれ方をわかっていて、最低限の戦い方がわかっていた。ボディブローなども実際に入っていたが強靭なハートで乗り越え、そして打ち返してきていた」と楽な挑戦者ではなかったことを強調。続けて「対峙して彼を支えるバックボーンが見えてきて、彼もまた暴走族総長という背負うものがあった。この日戦った4人の選手それぞれに背負うものがあり凄まじい気迫、闘争心を感じた」と評価した。

 そして「やはり背負うものがある人は強い!この日の自分は『ボクシング』というものを背負って戦った。ボクシングの素晴らしさを伝えるという気持ちだけで。拳を交えた者同士に背負うものがあり、そこにドラマが生まれる。だから見てる人の心に響くのではないかと思う」と競技の魅力を訴えた。

 興毅氏は2014年2月から、国内で試合ができない状態が続き、15年10月に現役引退。今年1月に日本ボクシングコミッション(JBC)からトレーナーライセンスを交付され、日本ボクシング界復帰を果たしていた。

◆亀田を相手に元暴走族総長が大奮闘
▼第4戦 ボクシングルール 3分3R
△亀田興毅(元WBA世界ライトフライ級王者・元WBC世界フライ級王者・元WBA世界バンタム級王者)
3R時間切れドロー
△ユウタ(元暴走族総長/33歳)

 亀田興毅への挑戦者を募集し、1人につき3分3Rずつのボクシングルールで亀田に勝ったら1000万円の賞金が与えられるという番組企画。1週間の期間で2000人以上の応募があり、その中から4人の挑戦者が選ばれた。

 最後の挑戦者として現れたのは、“伝説の喧嘩師”として紹介された元・北関東最大の暴走族の総長ユウタ(33歳)。調印式では入場するなり亀田の前に仁王立ちとなり、1分近くのにらみ合いを展開したほか、調印式後の写真撮影ではフェイス トゥ フェイスのにらみ合いを展開。

 なかなか目を離さない亀田に、ユウタは「なんだ? ここでやんのか?」と凄み、不穏な空気に。両者の間にスタッフが割って入ったという因縁が生まれた。

 これが4戦目となる亀田だが、右目の下がやや腫れているように見えるだけで余力は十分そうだ。挑戦者に鋭い視線を送る。

 1R、上背でかなり優るユウタがじりじりと前に出ていく。身体を左右に揺すりながらジャブを出すユウタ。亀田はガードを固めて様子見に終始、最後に一発だけ放った右フックは空を切った。

 2R、亀田がワンツーを出すとユウタも前へ出て左右のパンチを繰り出す。亀田の左ボディブローをもらったユウタだが、両手を広げて“効いてないぞ”とアピール。ユウタは長いリーチを生かしたワンツー、さらにボディを打ち返す。亀田は左ボディを狙い撃ち。

 ユウタが右フック、右アッパーを連打すると、亀田はカモンゼスチャーで挑発。ユウタが打ってくると亀田も打ち返す。左フックをもらったユウタだったが、両手を広げて“効いてないぞ”と再びアピール。

 3R、ユウタが左右の連打で前に出る。さらに右アッパーも狙う。亀田はやはり左ボディブロー。時折、右フックも放つ。亀田は両手を広げて観客を煽り、片腕をグルグルと回して場内を沸かせる。ユウタが右アッパー、右ストレートで前に出る。亀田も左を打ち返し、左ボディブローと左アッパーで迎え撃つ。亀田の徹底した左ボディ打ちにも負けじとパンチを打ち返すユウタ。

 ユウタは亀田の左フックをもらっても右ストレートを返す。亀田は左右フックで倒しに行くが、ユウタも打ち合う。そして試合終了のゴング。死力を尽くしたユウタはたまらずリングで大の字に。フルラウンド戦い抜いたユウタに場内から拍手が沸き起こった。判定はないため、時間切れドローに。

 ユウタは「何回も倒れたかった。でも気持ちではチャンピオンに負けていないと思っていました。でもやっぱり、ストリートと世界の差はデカい。1Rの途中から圧力を上げてきてこれが世界かと思いました。今日、亀田選手とやったことは1000万円以上の価値がありました」と立派なコメント。場内からの拍手を浴びる。

 亀田は「4連戦は引退している身には厳しい。足がヤバかった。2試合目くらいからけっこう足にきていて、ちゃんと踏み込んだパンチが打てなくなっていた。普通とは違うことをやらないと変えることって難しいじゃないですか。みんなが驚くようなことをやって、みんながよりボクシングに注目してくれればいい。最後に日本で試合がしたかったので、こういう形ですがリングに上がれて凄く楽しかったです」と、このチャレンジ企画を振り返った。

◆格闘家・中井祐樹、『亀田興毅に勝ったら1000万円』企画を語る
AbemaTV1周年記念企画『亀田興毅に勝ったら1000万円』が中継され、1420万視聴という数字を叩き出した。亀田はホストの神風永遠にTKO勝ち、YouTuberのジョーにレフェリーストップで勝利。第3試合は高校教師の松本諒太相手にTKO勝ちし、最後の試合では、暴走族の元総長・ユウタと3ラウンドで決着がつかずドロー。「亀田に勝ったら……」という条件だったため、1000万円を獲得する挑戦者はいなかった。

元々同企画では、18歳以上で腕に自信のある175cm、70kg以下の一般人を対戦相手として募集していた。引退してから1年半のブランクはあるものの、3階級で世界王者を取った元プロボクサーと一般人の試合についてプロの格闘家はどう見るか。柔術家でパラエストラ東京主宰の中井祐樹氏に今回の企画について話を聞いた――。(本取材は試合前に行いました)

危ないことにならなければいいなと思っていますよ。企画自体は面白いなとは思います。そして、亀田さんに挑戦するというのはどういった人間で、どういった人間がやりたがっているのか、格闘技界にいる者としては興味がないわけではないです。私も時期を同じくして、「道場(パラエストラ東京)で腕試し、いいですよ! 道場破り、いいですよ!」と書いていましたしね。

私は、力を持て余した人を格闘技界に誘いたいと思っています。ただし、亀田さんの件でいえば本当に、技術力、何もかも段違いなので、引退して約1年半が経過したとはいえ、危険なことにならなければいいですね。

あとは、亀田さんがそれなりの手加減ができるか、そこだけが心配です。ボクシングやK-1、キックボクシングとかもそうなのですが……「打撃が危険で、組技が危険ではない」という言い方はしたくないですが、打撃の方が、脳への障害が出る可能性が高い。そこを心配しています。打撃に関しては、ラッキーパンチはなくはない。組技の方がラッキーが起こりにくいです。打撃では、意識が飛んでしまったら終わりです。

それにしても、こういう企画が面白いってことになって、素人同士で叩き合うってのが当たり前になってしまうと危ない。何しろ何をどうすれば本当に危険なのか、ということが分かっていないと本当に相手に障害を与えてしまうかもしれないし、自分も身体に悪い影響が出るかもしれない。だから格闘技をやりたいのであれば「ちゃんと(道場に)入門する」というものが望まれるんじゃないですかね。いや、別に宣伝ではないですが。

私は昔、プロレスラーになりたいと思っていました。昔のプロレスの本とかを見ると、技の紹介などのページには「鍛えたレスラーだけができることなので、マネしないでくださいね」といった注意書きが書かれていたものです。今は、そういう話は出てこないと思います。あの頃は格闘家やプロレスラーに対する畏敬の念があったのかもしれません。ただ、格闘技って、そうものなんですよ。鍛えた人間だけができるものだと思うから、むやみやたらとマネしないでくださいね。

私は子供の頃プロレス大百科とかを見て、プロレスや格闘技は、鍛えた人間にしかできないものである、ということが頭に刷り込まれています。だから鍛えなくちゃ、と思いました。腹筋、スクワット、プッシュアップを徹底的にやっていました。格闘技というものはそういう基礎から体を鍛える必要があるのです。

私は「腕自慢したい人はウェルカム。道場へどうぞ」という姿勢を明言しておりますが、格闘技自体が、非常に本当に荒くれ者というか、力を持て余した人にとっては良い活動だと思っているからです。ただし、安易に試合を組ませたりしてはならない。素人の参加者を募集し、格闘技の大会をするのであれば、きちんと応募者の力量はちゃんと精査すべきでしょう。この2人のマッチメークであれば、実力差が少ない、この2人は明らかに力量が違うから闘わせてはいけない……とかそういったことも考慮しなくてはいけない。ある程度レベル感を合わせていくようにしないといけません。