川尻達也「DREAMが潰れたのは俺のせい。


川尻 ボクがUFCと契約したというと、ちょうどDREAMが終わって、日本の格闘技界に動きがなかった時期ですね。

――DREAMが終わったのは4年前のことですね。始まったのは2007年。

川尻 ということは『やれんのか! 大晦日! 2007』から今年で10年経つんですねぇ。

――長いですね。いや、早いのかな。川尻さんはどっちですか?

川尻 長いですねぇ。思い返してみると、ところどころ嬉しいこともあったけど、苦しい思い出しかないです(苦笑)。

――まあイヤなことってフラッシュバックしてきますから。

川尻 10年前は28歳ですよ。30代になったら結婚、出産とか人生の転機になることが多くなるから、大変なんだろうなとは思ってたんですけどね。

――10年前は結婚されてたんでしたっけ?

川尻 いや、していないですね。DREAM7(2009年3月8日)の翌日に籍を入れました。ボクは一夜明け会見に出席したので、嫁がひとりで書類を出してきて。

――一緒に届けられる日を選ばなかったんですか?

川尻 いや、どうしても3月9日に籍を入れたかったんで。

――何かこだわりがあるんですか? 

川尻 『レミオロメン』の「3月9日」という歌が好きで、記念日にしようってことで。

――……なるほど。これから『レミオロメン』の歌を聞いたり、3月9日が来るたびに川尻さんの顔が浮かぶわけですね(笑)。

川尻  そういう嬉しい思い出もあるんですけど(笑)、なかなか体験できないこともしたし。濃い10年間だったと思います。

――今回のクロン・グレイシー戦はUFCを離脱されてから、仕切り直しの一戦になりましたね。

川尻 結果は出なかったけど……周りは喜んでくれたし、「PRIDEのときのような声援だった」と言ってくれて。

――ああ、PRIDEの会場っぽい熱はたしかにありましたね。

川尻 プロファイターとして今回の結果はもの凄く悔しいんですけど、みんなが熱くなってくれたのがせめての慰めですねぇ……。そういう落としどころしかないかなって。

――試合は面白かったんですが、多くの方が「いつもの川尻達也の戦いぶりではなかった」と口を揃えるんです。何度も踏みつけを狙ったり。ひさしぶりの日本、ひさしぶりの大晦日、ひさしぶりの地上波ということで、何か重さは感じていたんですか?

川尻 重さ……っていうか、DREAMの初っ端のつまずきがあったので、RIZINではヘタはこけないなって。

――DREAMの初っ端というと……DREAM1のブラックマンバ戦のことですか?

川尻 そうです。勝ちはましたけど、誰も得しないような試合内容になってしまったんで。だからRIZINの一発目で、つまんない試合ができないなって。

――……いや、ビックリしました。まさかブラックマンバ戦から見立てる人はいなかったので(笑)。

川尻 ハハハハハハハ。DREAMはなかったことにされてるところはありますよね(笑)。

――川尻さんはPRIDEよりDREAMに思い入れがあると常々言ってましたよね。

川尻 そうですね。ボクが参戦したときのPRIDEはもう完成されていたので。DREAMはイチから作っていったじゃないですか。最終的にダメになっちゃいましたけど……。

――そうやってDREAMから繋げると、今回のクロン・グレイシー戦から見えてくるものはありますね。

川尻 それくらいボクにとってブラックマンバ戦は大きなトラウマだし。『戦極』との対抗戦の横田一則戦や大晦日のジョシュ・トムソン戦とか、しんどい試合をして価値のある白星を作ってきたつもりだけど、地上波でもカットだったし、まったく外に響かなかった。そのへんはトラウマといえばトラウマで。そういう思いは二度としたくないし、ボク自身も変わりたいなという覚悟はありましたね。

――その評価を当時はどう受け止めていたんですか?

川尻 当時は変えようとは思わなかったし、悔しい思いをしただけですよね。でも、今回こういうかたちで日本に戻ってきて、また同じことを繰り返したくないなって。やっぱり「好き」の反対って「嫌い」じゃなくて無関心だと思うんですよ。「川尻、負けろ〜!」って思われても、結果を気にしてくれる人はありがたい存在だし。それより試合をやっても無関心だったり、何も響かないのはいプロのファイターとしては一番つらいことで。

――いままでは手応えを感じてこなかったわけですか?

川尻 まったく手応えがないわけじゃなかったんですけど……正直UFCでどんなに頑張っても、喜んでくれるのは格闘技が好きでボクのことをずっと応援してくれているファンで。それが物足りないと言ってるわけじゃなくて、UFCって格闘技世界最高峰のメジャーじゃないですか。もっともっと反響があってほしいし、UFCという世界を知ってもらいたいけど、いまの日本には知ってもらうすべもないし、それだけの力も自分もないし……。そこはボクだけじゃなくて、水垣(偉弥)くんや堀口(恭司)くん、夜叉坊とか凄いことをやってる日本人がUFCにはたくさんいるのになって。そこに虚しさがあったし、PRIDEやDREAMを経て思うのは、日本の格闘技に必要なのは地上波だってことなんですね。

――地上波の影響力はやっぱり違いますね。

川尻 最初の話じゃないですけど、いまはなんでもネットで見られるのが当たり前の時代になってきたじゃないですか。でも、ほかのスポーツはそれで成り立つかもしれないですけど、格闘技の場合はそうじゃないと思うんですね。プロ野球やJリーグとはちょっと違いますね?

――地上波の依存度は違いますね。格闘技の場合は興行規模によってはテレビにおもいきり寄りかからないといけない。

川尻 格闘技はジャンルとしてまだ未成熟だから地上波に頼らざるをえないと思うので。そういう意味でこうやって地上波で戦えることはありがたいし、そこで響くものを見せれば違ってくるのかなって。

――たとえば、RENA選手もRIZINで人生が変わりましたもんね。それまではアルバイトしながら試合をしてて。

川尻 人生変わりましたよねぇ。一昨年の大晦日の夜、MMAデビュー戦で勝ったRENAちゃんが運営本部に来たときに「人生変わると思うよ」って声をかけたんですよ。そうしたらあっという間に変わりましたもんね。

――ゼロゼロ年代でいえばPRIDE武士道やHERO`Sがスタートしたことで、多くの軽・中量級の日本人格闘家の人生が変わったのと同じですね。だからこそ地上波つきの格闘技イベントは必要だ、と。

川尻 こういう機会を得たなら響く試合をしたいなと思ったし、そのうえでクロン戦は結果を残したかったですけどね。

――だから今回のクロン戦はいつもよりもKOを目指すスタイルだったんですね。

川尻 そこで勝ちに徹した戦い方じゃ響かないし、ボク自身も戦っていて楽しい試合をやりたいなって。勝っても判定だと、なんかこう素直に喜べないというか。自分の試合を見返しても首をひねったり、はしゃげてないので。勝ってはしゃげるような試合をしたかったんです。UFCでは勝たないと先に進めない世界だったから、そういう気持ちを収めて勝ちに徹してきたけど、今回は自分の思いを開放しようかなって。

――踏みつけの失敗が敗因に繋がりましたよね。もしあのシーンに戻ったら、また飛びますか?

川尻 戻ったら? もちろん飛びますね。

川尻 あれは盛り上げるためじゃなくて、勝つために狙ったんですよね。あの練習も何度もやっていて。踏み込んで、相手が足にしがみついてきたら、背中を向けながら足を抜いて、左足でサッカーボールキックをやる、と。その一連の動きはスパーでもうまくいってたんですけど。クロンの足のしがみついてくる力が凄かったし、背中を見せたらダメなんだなって。

――ボクはあの踏みつけはRIZIN参戦の意思表明に見えたんですね。

川尻 意思表明というか、そんな大それたもんでもないですけど、クロンをKOするためにやるべきことだとは思いました。いままでみたいにガードの中でコツコツやって、相手がしびれを切らしたところでパスガードをやるとか、時間を長く使えば展開は違ったかもしれないけど。でも、それじゃ響かないし、ボク自身もたとえ勝っても「またやっちゃったよ……」って感じで誰も喜ばない。

――いやあ、誰も喜ばないってことはないんじゃないですかねぇ。

川尻 いや、ボクの中では誰も喜ばない勝利を何回もしてきたつもりなんで。横田戦もトムソン戦も……。やっぱりね、会場の盛り上がりや試合の評価を見ても「つまらない試合だったんだな……」って考えちゃうんですよ。格闘技ファンには「トムソンに勝ったことは凄いことだ!」って評価してもらったんですけど。それだけで満足していたらメジャースポーツとしてはちょっと……。修斗の頃から友達に「勝っておめでとう」って言われるよりは「面白かった」と言ってもらったほうが嬉しかったし、プロスポーツってそういうもんだと思うんですけどね。評価するのはボク自身じゃなくて、会場やテレビで見てるお客さん。

――なるほど。川尻さん、それにしても自己評価が低くないですか?(笑)。

川尻 アハハハハハ。ボク自身ネガティブな性格だからかもしれないですけど。求めるものが高いからじゃないですかね。

――ああ、そこはプロの姿勢ですね。

川尻 ボク自身が“川尻達也”というファイターを演じいて「川尻達也にはこうなってほしい」と期待してるんだけど、思うような結果や内容を出せていなかった。その殻を破りたかった思いはありましたね。

――だからあのシーンに戻っても、飛んでクロンを踏みつける、と。

川尻 後悔はないですね。負けた悔しさはあるけど。

――アウトボクシングに徹しなかったことも意図的なんですか?

川尻 いや、思ったよりもクロンのプレッシャーが強くて。それを跳ね返す練習もしてたんですけど。それに普通はスタンドって危険区域に入る前にお互いにフェイトをかけたり、様子見じゃないですけど、いろいろやってからバンと入ってくるもんなんですよ。

――クロンは違ったんですか?

川尻 でも、クロンの場合は何もなくツカツカって危険区域に入ってきて。こっちからすると「マジか!?」って戸惑ったところはありましたね。普通だったらタックルすればいいんですけど、クロンにはギロチンがあるから危険だし。

――それはクロンの戦略なのか、あまりよくわかってなかったのか。

川尻 どっちなんですかね。両方なんですかね。クロンが一緒に練習しているニック・ディアスもそんな感じで危険区域に入ってきて、相手にケージを背負わせて仕留める感じなので。そこでボクが1発でクロンの意識を刈り取る武器があれば違ってましたけど。あの距離ではその武器はなかったですね。

――川尻さんの息が上がるのが早かったのはそのせいなんですか?

川尻 3分くらいで息が上がっちゃいましたけど。いま思えば走り込みが足りなかったかなって。前回のUFCの試合前はオーバーワークで倒れて、1週間くらい練習できなかったんです。だから今回はコンディションばっか気にしてて。自分には倒れるかどうかギリギリの練習のほうが合うんだなって。38歳で50戦以上やっていまさら……って感じなんですけど。

――いまだに試行錯誤しているわけですね。

川尻 だから格闘技って楽しいんですよね。やめられないんですよ。毎回同じルーティンだったら飽きてきちゃうと思うんですけど。

――クロンの寝技はどうでしたか?

川尻 あんまりおぼえてないですけど……やっぱりタイトでしたね。崩されたりして極めたりしたんで。

――十字で腕を伸ばされましたよね。

川尻 伸びてましたね。痛かったです。でも、腕はね、「外れてもいいか」くらいに思ってるんですよ、ファイターは。あと、ここでタップはできないなって。タップしたら、どっちらけだなって。

――タップは絶対にできないと。

川尻 そこまで深くは考えてはないけど、瞬間的に。腕十字って仰向けのとき以外はそうそう極まらないですよね。今回の那須川(天心)くんもそうじゃないですか。だから「ま、外れてもいっか」ってタップはしませんでしたね。

――最後のチョークの攻防はおぼえてますか?

川尻 おぼえてないですね。あのときは“半落ち”というか。映画館のスクリーンでエンディングシーンを見ているような感じだったんです。館内が明るくなったところで「あ、俺、試合をしてたんだ!?」って現実に戻って。試合直後のボク、ちょっとわけがわからなくなってませんでした?

――戸惑ってる感じはしましたね。試合後のコメントでは引退を匂わすコメントをしてましたね。

川尻 引退はしたくないし、やめるつもりはないけど。必要とされなくなったらプロって終わりじゃないですか。ボクは引退したくないし、50歳までやりたいけど……。

――50歳!!

川尻 それを決めるのはボクじゃなくてファンだったり主催者ですから。ファンが必要としてくれれば主催者はオファーしてくれるし。そういう意味でまたファンの期待を裏切ったボクに需要があるのかなって思っちゃったんですよねぇ。需要がなくなったら呼ばれなくなるし、これ以上ファンの期待を裏切るのは精神的にしんどいなって。

――負けたとはいえ川尻さんは次回のRIZINのオファーもあると思いますけど……そこは楽観視をしていないですね。

川尻 楽観視なんかしたことないですよ! できないですよ、楽観視。誰が楽観視してる人います?

――たとえば若い格闘家はそこまでは焦ってないですよね。

川尻 ああ、呑気でいいなって思いますよ、若い子を見てると。格闘家という職業を続けることってけっこう大変なのに。

――50歳まで戦いたいという目標があるとはいえ、残された現役時間があまりないこともありますか? 網膜剥離で一度は引退を決意したことがありましたし。

川尻 年齢的なこともそうだし、いつ戦う場を失うかわからないですからね。RIZINがコケたら、ボクも終わりだし。だから、なんとしてでもRIZINを盛り上げたいし、試合のプロモーションを含めてできることを全部やってやろうと思って。

――「かわ散歩」と題して、あちこちにRIZINのポスター貼り巡りの旅をしていましたね。

川尻 日曜日も休めなかったからキツかったですけど、楽しかったし、勝手な行動ですけど、若い子たちに気づいてもらいたいなって。あとから「こういうことができたな」って後悔したくなかったから。

――話を聞いて思ったのは、川尻さんの自己評価の低さですね。プロ野球でいえば開幕スタメンは確定してるのに、オープン戦から全力出してるベテランの感じが……。

川尻 自己評価、厳しいですよ。ボクなんかクソだと思ってますから。

――クソって(笑)。

川尻 なんとかファンや関係者に活かしてもらってるんですよ。普通だったらね、こんな大事なところで負けて、つまらない試合ばっかやってるファイターは食っていけないですからね。ほかの日本人から比べれば高いファイトマネーをもらってるし、ただ試合をして勝ちました負けましたでは済まないと思ってるので。

――そこはDREAMの苦い経験というか挫折が大きいんでしょうねぇ。

川尻 大きいいですねぇ。それしかないんじゃないですか。DREAMが潰れたのは俺のせいだって思ってますから。だから、なんでもやってやるって。

――DREAMが潰れたのは俺のせい……ですか。

川尻 本気で思ってますよ。

――基本的に格闘家って契約を結んで試合をするだけで、イベントに帰属意識を持つ必要がないじゃないですか。たとえば、これからの選手はそういうことは考えないでしょう。

川尻 あー、そうですね。どっちが正しいとかの話じゃなくて、そこまで団体に入り込む必要はないかもしれないですよね。試合をするだけでいい。

――仮にRIZINが潰れたとして若い選手は「俺のせいだ」とは思わないでしょうし。

川尻 まあ思いつめないですよね。

――でも、川尻さんはDREAMでは団体を作る感覚があったし、同じ意識を持ってRIZINに臨んでいると。

川尻 そう考えると特殊かもしれないですよね。

――五味隆典選手や青木真也選手にしても、その帰属意識の経験がいまの彼らのパーソナルを形成してるとも言えるのかなって。

川尻 あー、だから面白いんじゃないですかね。北岡(悟)くんだってそうですよね。何か背負ってやってきたから“軽さ”がない。べつにいまの若手がダメだって言ってるわけじゃなくて。

――背負ったほうが良かったのか悪かったのかはわからないですけどね。よけいなものではありますから。

川尻 そうなんですよね……(苦笑)。まあ、いい意味でも悪いでも楽しめるんじゃないですかね。背負わなきゃつまらないだろうし。

――でも、年末のRIZINを見ると「プロとしてどう輝くか」ということが見えるファイターも多かったですよね。

川尻 所さんや北岡くんの試合も面白かったし、RENAちゃんや那須川くん、キザエモン、アーセンもいて。1年目と比べても選手層が厚くなりましたよね。那須川くんにもビックリしちゃいましたよ。あんなに腕を伸ばされたのに大晦日も試合をやるのかって。狂ってるなって(笑)。その狂ってる感じが面白いですよね。ボクは「こいつ馬鹿だな、絶対に無理だよ!」って思われてる一見馬鹿に見える人たちが好きだし、ボクもそうありたいなって。PRIDEやDREAMのときはそういう人たちとやってきた。そういう意味で猪木さんの「馬鹿になれ」っていい言葉ですよね。馬鹿になったもん勝ちですよ。

――中井りん選手も「馬鹿になれ」の世界ですね(笑)。

川尻 ホントに素晴らしいと思います。いろいろと言われてるけど「ピエロで何が悪いの?」って思いますもん。みんなを喜ばせることができるピエロが一番面白いですし。そうやって知名度や人気のあるファイターが出てきてるので、自分のやりたいことをやればいいから精神的には楽かなって。DREAMのときは「負けられない。ここで負けたらDREANが終わってしまう」って勝手に思っていたところがありますから。

――自己評価は低くて楽観視してないけど、RIZINの未来には前向きなんですね。

川尻 一昨年の大晦日は解説の仕事で会場にいたんですけど、そのときからRIZINにはポジティブな空気が流れてるんですよ。まるでPRIDEのような……。PRIDEってスタッフの一致団結感が凄くなかったですか? 「世界最高峰のものを俺たちは作ってるんだ!」というプライドがもの凄くあって。PRIDE武士道に参戦したときにそのプライドに圧倒されたし、「これがプロフェショナルな世界なんだな」って学ぶことが多くて。そういう経験ができたから、いまこうしてプロフェショナルなファイターになれたと思ってるんで。でも、DREAMって最後のほうが悲壮感しかなかったじゃないですか。

――お客も入ってなかったですしね……。

川尻 内部はPRIDEとK−1のスタッフが合同でやっていたこともあって、よくわからなかったんですよ。もちろんボクはPRIDE出身だからPRIDEスタッフには心を許しているけど、K−1のスタッフにはどこまで……もちろん仲間だから笑顔で接するんですけど、心の奥底ではどこまで気を許していいのかなってわからなくて。それはボクだけじゃなくて、ほかの選手や関係者もみんながみんな思ってたんでしょうね。

――いま思えばPRIDEのときとは違った、と。

川尻 いま思えば、そうなんですね。RIZINにはそういった壁がないし、未知数だけど、いい舞台を作り上げようというモチベーションの高さを感じているので、もの凄くポジティブに捉えてますね。……なんか楽観視しすぎてるかもしれないけど。

――RIZINの未来は楽観視してる(笑)。

川尻 はい(笑)。「RIZIN、いけるんじゃないの?」って。周りの反応もいいし、打てば響かない試合を経験してるボクからすれば、いけそうかなって。RIZINには響きがありますよ。心配事としては出し惜しみせずに出し尽くしてるので、どこまで続くのかなって思いますけど。でも、そこで出し惜しみをしたら盛り上がらないので。

――DREAMを経験した川尻さんからすれば、メジャーイベントのありがたみがわかるわけですよね。

川尻 若い子も頑張ったほうがいいですよ。あっという間に歳を取りますから。

――それにPRIDE武士道のときは隔月ペースだから選手枠がそこそこありましたけど、RIZINは……。

川尻 (さえぎって)そうなんですよっ! 4月の横浜アリーナ大会もどんなに多くても13試合くらいじゃないですか。

――精一杯試合を組んでも13試合程度。

川尻 どんだけ増やしても13試合。女子の試合が4試合組まれたとする。残り9試合18人。おそらくヘビー級が2試合は組まれると思うんですよね。そうなると7試合14人。日本人対決があるかもしれないけど、外国人が出ることを考えたら日本人は10人ですよね。

――川尻達也計算によれば、4月大会に出場できる日本人は10人(笑)。

川尻 少ないですよね。だから慌ててインスタグラムで勝手に参戦表明したんですよ(笑)。

――川尻さんはアピールしなくても大丈夫ですよ!

川尻 いやいや、呼ばれるかどうかわからないですよ。

――まあ、本人がそう思うなら(笑)。

川尻 スーパースターになれる奴はやらなくていいんですよ。ファンの手の届かないところで光り輝いていけばいいんです。魔裟斗やKID、RENAちゃんはそういうタイプ。ボクは10年前から気づいていたけど、そういうタイプじゃないんで。コツコツとアピールしてファンの手の届くことで盛り上げていこうと思ってるし。いま若い子の中に「華がない」とか諦めてる奴がいるかもしれないけど、俺でも格闘技でメシが食えてるんだから。俺みたいなクソが格闘技で食えてるだから、みんなも努力次第で食えるでしょって。だから頑張ってなんでもやればいいんです。そういう指標になればいいかなって思ってます。

――……「俺でも食える」っていいますけど、UFCトップ5のランカーと張り合うんだから川尻さんも特殊ですよ! 一般人を装ってますけど全然違う(笑)。

川尻 いやいや、俺なんか普通のクソ人間ですよ!