WBA世界ミドル級王座決定 | 村田諒太(31)がアッサン・エンダムについての関係者の声


ボクシング「協栄ジム」の金平桂一郎会長(51)が21日、自身のツイッターを更新し、20日のWBA世界ミドル級王座決定12回戦で村田諒太(31)がアッサン・エンダム(33)に1―2の判定で敗れた結果に対し、ボクシングの危機を訴えた。
金平会長はツイッターで「会場で観戦しました。私は、どんなに辛くても村田選手の2ポイントリード、普通なら4ポイント勝ちと思ってます」と自身の採点で村田の勝利を主張した。
その上で「昨今の風潮を考えると、ガードの上から叩かせるのは印象に響くとは思ってました。それでも、村田選手の負けはあり得ません」と断言。続けて「細かいラウンドのジャッジは控えますが、ダウンも取り有効打が多い村田選手の負けをジャッジされると、ボクサーは軽打をグラブ越しに叩き動けば勝ちになります。これだと、ボクシングの格闘競技としての存在の根幹を揺るがせますね」と今回のような判定が続けば、ボクシングそのものが危機になると警鐘を鳴らした。
その上で両者の再戦について「ダイレクトリマッチは確実だと思います」との見解を披露していた。
また、ツイッターでは現役時代、協栄ジムに所属し世界戦で13回連続防衛の日本記録を残した白井・具志堅ジム・具志堅用高会長が育てた比嘉大吾(21)の世界王座奪取を祝福。「具志堅会長長年の悲願だった、世界チャンピオンを育てる夢が叶い、先代正紀もさぞ喜んでいると思います」と具志堅会長をプロモートした父の正紀会長の思いも披露していた。

◆たけし、村田の世界奪取失敗に落胆
20日放送のTBS系「新・情報7daysニュースキャスター」(土曜・後10時)は、村田諒太(31)=帝拳=が、WBA世界ミドル級王者決定戦で1―2の判定で敗れたことを他局での放送ながらトップで取り上げた。村田の応援団長に就任していたタレントのビートたけし(70)はオープニングトークで「まさかね、判定負けとは思いませんよね」と落胆した表情で語った。
「やっぱりプロから見ると、プロらしくない試合なんだろうね。ガードしてワンツーというのと、攻撃性がないのと、いろいろあるんですよ、積極性とか。普通にいけば圧勝じゃない? ダウンもとってるし。だけどやり方によっちゃ負けにされちゃうという…。いろいろあるんすかね」とぼやいた。
「こういうことはいろいろありますよ」とたけし。「私も映画祭で圧勝したと思って授賞式でまってたら、一言もあいさつされずにそのまんま飛行機に乗って帰ってきた時に、絶対復讐してやると思いましたよ」と同様の自身の経験を語った。「村田選手にとってはいい勉強かもわからない。アマとプロのもう一回あらためて考え直して、また練習に励んで…。あれだけのパンチ持ってますからね」と敗戦を糧にしての巻き返しに期待をかけた。
勝ちを確信していたたけしは判定発表の瞬間トイレに行っていたそうで、戻ってテレビを見て「やけに静かだな」と思ったという。

◆竹原慎二氏「手数が少なすぎた」
日本人初の最重量級世界王座を奪取した元WBA世界ミドル級王者の竹原慎二さん(45)が、村田の世界タイトル初挑戦を観戦し、スポーツ報知に特別寄稿した。村田が1―2の小差判定で敗れる結果に「これは勝ちでしょ!? まさか負けるとは」と驚きを隠せなかった。敗因については「手数が少なすぎた」と指摘し、「何があるか分からないのが世界戦。最後まで倒す気持ちでいってほしかった」と悔しがった。

まさか、ビックリですよ、というのが、この世界戦の感想だ。僕の採点では5ポイント差で村田に勝ちをつけたが、勝負というのは最後まで分からないものだ。判定のアナウンスが出た瞬間は僕も驚いた。負けるとは…と。 ダウンを取った右ストレート、6回以降には徐々にボディーも入り、有効打という点では村田が勝っていたが、2人のジャッジがエンダムを支持したことを見ると、敗因はおそらく手数が少なすぎたことだろう。熱くならず、ガードを固めて冷静に戦い、逃げる相手にプレッシャーをかけていたが、2人のジャッジはそう見てくれなかった。
4回以降、流れは村田にあったように見えた。しかし、ジャッジが割れたように、見る人によっては印象は違うというのが採点競技の難しさだ。判定が出た瞬間の村田の表情を見ると勝ったと思ったのだろう。僕が村田くんに勝ちをつけたように、自分で採点を判断してはいけないということだ。WBAルールでは12回が終わるまで採点結果は分からない。これがWBCの4回ごとの公開採点ルールだったら、違った展開になっていたのかも知れない。
僕が96年6月24日にWBAの王座から陥落して22年。保住直孝、佐藤幸治、淵上誠、石田順裕と多くの日本人がこの階級に挑んで敗れ、悔しい思いをしてきた。僕を抜くなら村田しかいないだろうと思っていただけに残念だし、この最大のチャンスをものにできなかったことを非常にもったいないとも思った。僕は勢いで世界を取ったけど「敗けは死じゃ」という強い気持ちがあった。その気持ちがあったかどうかは村田本人しか分からない。ただ、終了ゴングが鳴るまで倒しに行くという気持ちがなければいけないなと思ったのが正直な感想だ。僕の持論は「ボクシングは戦争」だ。冷静さの中に熱さも欲しかった。
五輪金メダリストという肩書、この1万人という大会場、そして森(喜朗)さんや、吉田(沙保里)さん、室伏(広治)さんら素晴らしいアスリートの顔もたくさん見て、背負うものが大きいなと感じた。
(24戦無敗で世界を取った)僕は左目網膜剥離というどうにもならないけががあったし、負けたら引退するという覚悟を決めてやった。ただ、村田もおそらく不完全燃焼だろう。今後どうするか。環境的に自分だけで決められないこともあると思うが、本人が自分の意志で決めて欲しい。

◆WBAメンドサ会長「日本のファンにお詫びしたい」
20日に東京・有明コロシアムで行われたプロボクシングのWBA世界ミドル級王座決定戦で、同級2位・村田諒太(31)=帝拳=が、同級1位アッサン・エンダム(33)=フランス=に1―2の判定で敗れたことに対し、WBAのヒルベルト・メンドサJr.会長が再戦指令を出した。
メンドサ会長はツイッターで自身がつけた採点表を公表。117―110で村田の勝ちとした上で「DIRECT REMATCH(直接再戦)」と表の下に書き加えている画像を公開した。「私の採点では村田が117―110で勝っていた。村田諒太と帝拳プロモーション、日本のファンにお詫びしたい。このひどい決定のダメージをどう回復させたらいいか、言葉が見つからない。チャンピオンシップ委員会に再戦を要求する」との声明を発表した。
村田―エンダム戦はジャッジ1者が117―110で村田を支持したが、残る2者は116―111と115―112でエンダムを支持。不可解な判定に疑問の声が広がっていた。
ボクシングのWBA世界ミドル級王座決定戦12回戦が20日、有明コロシアムで行われ、ロンドン五輪金メダリストで同級2位の村田諒太(帝拳)が、同級1位の元世界王者アッサン・エンダム(フランス)に1-2の判定負け。ダウンを奪い、優勢とみられていたが、ファンも唖然とした不可解な判定に泣いた。
“疑惑の判定”によって大騒動となり、WBA会長は日本のボクシングファンに謝罪し、運営側に異例の再戦を要求。WBA公式サイトが伝えている。
日本中が注目した一戦は、信じられない結末となった。優位に試合を進めていた村田が、まさかの判定負け。判定がコールされると、会場は騒然となった。
この結果を受け、WBA公式サイトは「WBAはエンダムとムラタの再戦を要求」との見出しで報じた。ヒルベルト・ヘスス・メンドサ会長が、チャンピオンシップ委員会に両者の再戦を要求したという。
2人のジャッジが116-112、115-113でエンダム勝利とし、1人が117-110で村田勝利としたことを伝え、「この試合のジャッジは報道陣、観客から“疑惑の判定”と批判を受けている」と疑念を持たれていることを認めた。
WBA会長は「目指すところは明確な判定と透明さ」と明言も後味残る結末に
さらに、メンドサ会長のSNS上での謝罪のコメントを紹介した。
「私のつけたスコアでは、117-110でムラタの勝利だった。まず第一に、リョウタ・ムラタと帝拳プロモーション、そして、日本のボクシングファンに謝罪します。このダメージを埋めるにふさわしい言葉はありません。チャンピオンシップ委員会には再戦を要求します」
このように日本のファンに対して頭を下げ、異例の再戦を求めている。
「この問題による論争に心を痛めています。私の目指すところは、明確な判定と透明さを全てのボクシングファンに提示することです」
メンドサ会長はクリーンなボクシングを目指しているとしたが、今回、「透明さ」からかけ離れた判定によって後味の悪さが残ったのは事実。村田の世界王者挑戦は、まさかの結末によって終わってしまった。

◆帝拳・本田会長「こういう判定ではボクシングの信用がなくなってしまう」
歴史的快挙達成は、ならなかった。ボクシング12年ロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBA同級2位の村田諒太(31)=帝拳=が、世界初挑戦での王座獲得に失敗した。同級暫定王者(1位)アッサン・エンダム(33)=フランス=に1―2の判定負け。1995年12月の竹原慎二以来、2人目となる日本人ミドル級世界王者、日本人初の五輪メダリストの世界王者という夢はかなわなかった。初黒星の村田の戦績は12勝(9KO)1敗、エンダムは36勝(21KO)2敗。(観衆1万1000)
村田が所属する帝拳ジムの本田明彦会長(69)は、「村田が勝っていた。相手は手数というよりも逃げていただけ。負けは絶対にない。いろいろな見方があるとはいえ、ひどすぎる。こういう判定ではボクシングの信用がなくなってしまう」と声を荒らげた。ただし判定についてWBAへ提訴するかどうかは明言せず。エンダムとの再戦についても「集大成のつもりで4年間かけて(マッチメークを)やってきたから、簡単に再戦なんて言えない。次はもうないですよ」と否定した。

◆内山高志、村田戦のWBA採点に「ほんとにわからん」
プロボクシング元WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(37)が21日、自身のブログを更新し、20日のWBAミドル級王座決定戦で村田諒太(31)が1―2の判定でアッサン・エンダム(33)に敗れた試合について自身の見解を示した。
内山は「昨日のミドル級タイトルマッチ。村田の勝ちでしょ」と断言。その上で「よくわからん」と判定に疑問符を投げかけた。
自身はWBAの正規王者、スーパー王者として11連続防衛を達成してきた。しかし、ブログでは2014年12月31日の9度目の防衛戦となったイスラエル・ペレス戦を振り返り「俺も9回目の防衛戦で9ラウンドTKOで勝った時、ほぼワンサイドの内容だったにも関わらず、採点表見たら、二人のジャッジはフルマークだったのに一人のジャッジはドローだった事があったな」とWBAの採点に驚きを覚えたことを明かした。
最後に「ほんとにわからん」と繰り返し、WBAの採点へ首をかしげていた。内山は16年4月に12度目の防衛でジェスレル・コラレスに敗れ王座陥落。同年12月に再戦したが敗れ、現在、現役続行か引退か進退を表明していない状況が続いている。

◆山中慎介「判定が理解できない」
村田諒太(31)=帝拳ボクシングジム=が暫定王者のアッサン・エンダムを追いつめるも、まさかの判定負けを喫した。
解説を務めたWBC世界バンタム級王者・山中慎介(34)は判定後「僕には正直、理解できないですね。この採点」と信じられない様子。試合の見解を求められても「んー、ちょっと判定が理解できないとしかコメントできないです」と後輩の敗戦を悔やんだ。

◆西岡利晃「村田の圧勝かと思った」
「村田の圧勝かと思った。ダウンも取ったし相当(パンチが)効いていた。村田がガードしていったのを手数として取られた、それしか考えられない」と驚きを隠せなかった。

◆長谷川穂積「村田はWBAの“特別採点”に負けた」
勝負に勝ち、試合にも勝ったと思う。ただ、WBAの“特別採点ルール”に負けた。それが村田君の試合の印象だ。僕はテレビ観戦だったが、前に出る選手より、下がりながらでも手を出している方にポイントがついていた。
これは、先月ベルトを獲った後輩の久保隼(WBA世界スーパーバンタム級王者)の世界戦も同じだった。11回TKO勝ちした久保だが、10回までの採点が1-2で負けていたのを後で見て驚いた。 極端に言えば、距離をとりながらシャドーをしていても勝つことがあるということだ。これは他3団体とは違う。僕自身も選手だったらどう戦えばいいかわからない。これがWBAだと考えるしかない。
ベルトがあるかないかの違いはあるが、村田君は負けが1つついただけで評価は何一つ落ちない。最大の武器、ブロッキングに加えて、何度も出した右ストレートの破壊力はすごかった。これは持って生まれたものではなく、血のにじむような努力を積み重ねて手に入れたものだ。
僕が練習を見た日も、右ストレートだけで何千発も打っていた。この世界戦へ向けては、何十万発も打ったことだろう。それほどこの右にかけていた。
世界再挑戦のチャンスは必ずくる。その時は、この試合と同じコンディションで戦ってほしいと思う。

◆ネットでは「なぜ?」の嵐
2012年ロンドン五輪ミドル級金メダルで、WBA世界同級2位の村田諒太(31)=帝拳=が、1―2の判定で敗れ、プロ初黒星。世界王座獲得に失敗した。
ダウンも奪った村田がホームでのまさかの判定負けで世界奪取に失敗。判定に疑問を呈するネット民の声が相次いだ。
タレントで俳優の川平慈英(54)は「村田選手。少なくとも僕には勝者です。Next!! ぐうの音も出ないくらい目にものをみせてやってください!信」。元宮崎県知事の東国原英夫氏(59)は「え~~?! そうなんだ~?! WBA世界ミドル級王座決定戦 村田vsアッサン・エンダム戦の判定。そうなんだ~~?!」。ピン芸人の陣内智則(43)は「ボクシング村田選手判定負け?! 圧勝やったやん。。」。新日本プロレスの永田裕志(49)は「村田諒太選手敗退。それはないだろう。」とそれぞれツイートした。

◆海外メディアも村田諒太の不可解判定負けを「判定に疑問」
WBA世界ミドル級王座決定戦でロンドン五輪金メダリストで同級2位の村田諒太(帝拳)が、同級1位で元世界王者のアッサン・エンダム(フランス)に不可解な判定で敗れた試合を海外メディアも問題視した。
ジャッジ3人の採点はパナマのパディリアが111-116、カナダのアールが112-115でエンダム、米国のカイズJrが117-110で村田とし、3人のうちカイズJrだけが村田を勝者とする採点をしていた。米国ラスベガスに拠点を置く、ボクシング専門のニュースウェブサイト「ボクシングシーン・ドット・コム」では、「議論を呼ぶ2-1の判定で、エンダムが村田に勝った」という見出しをつけて報じた。
「エンダムは地球の反対側にある東京の有明コロシアムまで移動し、そこでその国のスターであるリョウタ・ムラタを破ったことは彼の最大の名誉である。そして、これは2017年の大逆転勝利のひとつであり、疑いのある結果のひとつであるだろう」と判定については疑問があるとハッキリと伝えた。
「エンダムは第4ラウンドの終わりにダウンを奪われたが、これを乗り越え、村田のホームカントリーである日本で2-1の判定で勝った。論争になっている勝利によってエンダムはWBA世界ミドル級のタイトルを勝ち取った」とも表現した。
執筆したスカチェフ記者は、この試合を振り返りながら「このファイトはムラタの手の中にあるように思われた。アナウンサーが最初の採点カードを読み上げ、フランス人のほうが上回っていると告げたときには、苦い驚きがあった。3枚の採点カードが読み上げられ、エンダムの勝利が発表されたときには、驚きがショックへと変わった」と、判定が不可解に感じたことを明かしている。
そして記事では「ボクシングシーン・ドット・コムは、カイズの採点に同意した」と、3人のジャッジのなかで117-110で村田を勝ちとするポイントをつけたカイズの採点が妥当であるとした。
さらに「なぜならエンダムが勝ったようには全く見えなかったからだ」と付け加えた。
この記事が掲載されてから数時間で70以上の読者コメントが投稿された。
 「接戦だったと思うけど、再戦が必要だと思う」
 「ジムの政治的な何かがあるように見えた。結果に大笑いしてしまった」。
 「見聞きした限りでは、村田は勝ちを略奪されたようだ」
 「胸が悪くなるような結果」
 「事実として、村田はファイトをコントロールしていた」
読者コメントのほとんどがエンダム勝利の判定に納得できないとしていた。

また、「ボクシングニュース24・ドット・コム」では、元WBOクルーザー級王者のエンゾ・マカリネリとWBAのヒルベルト・メンドーサ会長のツイッターでのやりとりを取り上げた。
同ウェブサイトによると、マカリネリが「どうしてジャッジたちの採点がこんなにも違うのか」と3人のジャッジの採点がバラバラだったことを疑問視。これに対し、メンドーサ会長は「このようなこと(ジャッジの採点にバラつきがあったこと)が起こって当惑している。我々は(ジャッジの)トレーニングと検定にとても時間を費やしているのだから」とマカリネリの疑問に答えたそうだ。
「ボクシングニュース24・ドット・コム」のジム・ダワー記者は「このファイトでは村田のほうが明らかによいファイターであると私は思った。しかし、私はジャッジではない」と記事を皮肉で締めくくった。
海外リングでも注目のミドル級王座の不可解判定は世界的規模で騒動に発展しそうだ。

◆村田-エンダム戦立会人「既にダイレクトリマッチ要請した」
ロンドン五輪金メダルの村田諒太(帝拳)が判定負けした20日の世界ボクシング協会(WBA)ミドル級王座決定戦のスーパーバイザーを務めたWBAのフリオ・タイム氏(パナマ)は21日、東京都内で取材に応じ、判定を「不服」としたうえで、再戦を求める方針を示した。
タイム氏は「私の採点では116-111で村田の勝ちだった。われわれは既にタイトルマッチ委員会にダイレクトリマッチを要請した。月曜日に帝拳と本田会長は正式な通知を受けるだろう」と語った。

◆張本「セコンドの勘違い。後半から全然攻めず防戦一方だった」
野球評論家の張本勲氏(76)が21日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・0)の名物コーナー「週刊・御意見番」に登場。20日に行われたプロボクシング・WBA世界ミドル級王座決定戦で、ロンドン五輪金メダリストで同級2位の村田諒太(31)=帝拳=が世界初挑戦で、同級1位のアッサン・エンダム(33)=フランス=に1-2の判定で敗れたことに言及した。
「がっかりしました。村田のセコンドの勘違いだと思った。4回に(相手が)ダウンしたでしょ。よろけるシーンがたくさんあった。セコンドは『勝った、これはもらったから無理するな』というようなことを言ったらしい。だから後半から全然攻めず、防戦一方だった」
村田は陣営が編み出した“勝利の方程式”に従って戦った。ゴングとともにガードを固めて前へプレッシャーをかけ、軽快なフットワークを駆使して左右に動くエンダムを追い詰めた。4回にはステップインして距離を一気に詰め、右ストレートを打ち込みダウンを奪う。その後もプレスをかけ続け、エンダムをロープに追い込み、何度も強打を浴びせる。理想的な展開。誰もが村田の勝利を確信していた。
微妙な判定だった。2人のジャッジがエンダムを支持し、最大5ポイントの差がついた。有効打より手数だけを重視した採点に、陣営や多くの専門家から判定に対して不満や困惑の声が漏れた。金メダリストから世界王者となる国内初の快挙は達成できなかった。

◆エンダム「私の方がパンチが当たっていた」
勝利を告げられた瞬間、エンダムの両ひざはキャンバスに落ちた。精根尽き果てた姿がギリギリの戦いを表していた。場内は大ブーイングに包まれたが「村田より私の方がパンチが当たっていたので、勝ったと思った。しかし、敵地であることを考えれば勝利の確信までは持っていなかった」と心境を明かした。
4回には村田の強烈な右カウンターを食らい、ダウンを喫した。「数秒で回復した。だから、その後も距離を取って戦うという戦術を貫けた」。驚異的な回復力について、カメルーン出身のフランス人は「カメルーン時代はつらい生活をしていた。いつも私はギリギリで戦っているんだ」と強調した。
18日の調印式では「対戦相手はエンダムだ、ということを村田は忘れてはいけない」と“上から目線”で語っていたが、12ラウンドをフルに戦ったあと評価を一変させた。「彼はまだ若く、未来がある。将来は世界チャンピンになるだろう」とたたえた。

世界各国のメディアが判定に疑問を呈し、WBAのヒルベルト・ヘスス・メンドサ会長も「私のつけたスコアでは117-110でムラタの勝利だった。まず第一にリョウタ・ムラタと帝拳プロモーション、日本のボクシングファンに謝罪します」とSNS上で異例の謝罪文を発表する事態になった。しかし、エンダムの勝利は「明白」と主張する人間がいる。
エンダムのプロモーターのセバスチャン・アカリース氏だ。母国フランスの地元紙「レキップ」で疑惑の声に必死の反論を展開している。
「アッサン(エンダム)の勝利は明確だ。アッサンは最も積極的だった。一度はダウンしたが、多くのパンチを放った」
大物プロモーター、ミシェル氏を父に持つエンダム陣営のプロモーターはこう主張したという。さらに、繰り返してエンダムの優位性を力説している。
「フランス人はより積極的だった」…地元紙は明らかに自国寄りの報道展開
「ムラタもパンチを受けていた。ただ、ダウンしなかっただけだ。とても僅差の試合だったが、アッサンの勝利は明確だ。なぜなら、彼は12ラウンドのうち、7回取ったからだ」
アカリース氏は手数で上回り、7ラウンドでポイントで勝ったと強弁している。
記事では「ムラタは印象に残るパワーを発揮したが、フランス人はより積極的だった」と記しており、各国メディアの報じる「疑惑の判定路線」とは異なり、レキップ紙は明確に自国王者寄りの報道を展開していた。
村田自身は試合後に「勝ってた負けてたはジャッジの仕事なんで、受け入れるしかありません」「それがアスリートの役目かと思っています」などと自身のFacebookでつづり、一夜明けた21日はエンダムと2ショット写真も掲載。「大切なことは、2人がベストを尽くしたこと、日本に来てくれて感謝していると伝えました」と感謝を述べた。
フランスとしては正当性を主張しているエンダムの勝利だが、本人にとっては両者がリング上で死力を尽くして戦い合ったことが最も重要だったようだ。

◆村田「負けたらもう1回…そんな簡単な日々を歩んできたつもりはない」
歴史的快挙達成は、ならなかった。ボクシング12年ロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBA同級2位の村田諒太(31)=帝拳=が、世界初挑戦での王座獲得に失敗した。同級暫定王者(1位)アッサン・エンダム(33)=フランス=に1―2の判定負け。1995年12月の竹原慎二以来、2人目となる日本人ミドル級世界王者、日本人初の五輪メダリストの世界王者という夢はかなわなかった。初黒星の村田の戦績は12勝(9KO)1敗、エンダムは36勝(21KO)2敗。(観衆1万1000)
村田の敗戦が告げられると、観客からは「えーっ!?」という驚きの声が上がった。怒号や戸惑いの声が入り交じる騒然とした雰囲気。村田はアナウンスに耳を疑うようなの表情を浮かべた後、ぼうぜんとなった。「判定を聞く瞬間に正直、胸騒ぎみたいなものはした。(ロンドン)五輪の時は何となく勝ったんだなという感じはしていた。“勝ったよ”と手を挙げていたが、ちょっと変な予感はしていた」。その直感が悪い方向で的中してしまった。日本人初の五輪メダリストの世界王者も、95年12月の竹原慎二以来、日本人2人目のミドル級世界王者も目前で逃げていった。
試合は村田ペース進んだかに見えた。「相手のパンチが独特の角度で出てくるので」と初回はほとんど手を出さなかった。徐々にギアを上げていき、4回に狙い澄ました右がエンダムのアゴをとらえて先制ダウンを奪った。その後も前に出てプレッシャーをかけ続ける村田と逃げるエンダムという展開で試合が進んだ。
村田が得意の右などで何度も相手をぐらつかせ、優位に試合を進めたかに見えたが判定は1―2。村田は「試合は第三者が判断すること。僕が勝った、負けたとかは言いたくない」と淡々と語ったが、一方で「もっと打てるシーンがあってもよかった。もう1、2回ダウンを取れば勝てる試合だった」と悔しさをにじませた。
全勝で駆け上がって世界の舞台に立ったが、ここまでは苦しんだ。持ち味ではない足を使おうと試みた時期もあった。そこでコンビを組む田中繊大トレーナー(45)と原点に立ち返った。「最も状態が良かった」という銀メダルだった11年世界選手権の映像を分析。ガードを固めて前へプレッシャーをかけ、最後は右ストレートを決めるという自らの強みで勝負することに決めた。昨年は4戦全KO勝利と確かな自信をつかんだ。初の世界戦の大舞台でも磨いたストロングポイントで攻めたが、わずかに届かなかった。
村田は「五輪が終わってから注目されるようになって、自分なりに努力してきたつもり。その努力の集大成として見せたかったのが今日だった」。今後については「それが見せられなかったことに対して、負けたらもう1回頑張ると簡単に言えるかというと、正直そんな簡単な日々を歩んできたつもりはない。気持ちの整理が必要」と語るにとどめた。村田はどんな決断を下すのか。

◆村田に聞く
 ―思ったとおりやれたか
「明らかに何発か打った後に(エンダムが)休むシーンがあって、あそこはもっと突き詰めていけばよかったと反省は残る」
 ―相手がダウンした時の手応えは
「その後もジャブやガード越しでもグラッときたし、なかなか手応えはあった」
 ―ポイントで負けていたかもと頭にはあったか
「どうなんだろうというところはあった。第三者の目なので、ジャッジというのはある種プロフェッショナル。もしかしたら、ダメージングブロー(有効打)じゃなくて多分ジャブをとったということだと思う。そこは納得せざるを得ない」
 ―効いた相手のパンチは
「1回もなかった。ただ、やっぱりパンチ力はあった。ミドル級であれだけ振ってくればね」

村田は試合後、自身のFacebookを更新し、「受け入れるしかありません」と気丈に振る舞った。
試合後に投稿された記事では「多くの方に応援いただいたのに、勝つことが出来ず申し訳ございません」とファンに謝罪した。優位に試合を進めながら、まさかの判定負けを喫したことについては「勝ってた負けてたはジャッジの仕事なんで、受け入れるしかありません」「それがアスリートの役目かと思っています」と言い訳しなかった。
今後については「少し休んでこの先のことは考えます」と記した村田。最後に「応援ありがとうございました。負けてすみません」と再び謝罪した。日本中が注目した一戦は、後味の悪さを残して幕を閉じた。