サウル・“カネロ”・アルバレス VS ゲンナジー・ゴロフキン


◆プロボクシング ▽世界3団体統一ミドル級(72・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 △ゲンナジー・ゴロフキン(引き分け)サウル・アルバレス△(16日、米ネバダ州ラスベガス T―Mobileアリーナ)

 世界3団体統一ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(35)=カザフスタン=と、“カネロ”の愛称を持つ元世界2階級制覇王者サウル・アルバレス(27)=メキシコ=のビッグマッチは三者三様の引き分けに終わった。ゴロフキンはWBA18度目、WBC7度目、IBF4度目の防衛となった。ゴロフキンの戦績は37勝(33KO)1分け、アルバレスは49勝(34KO)1敗2分け。

 試合はジャブを出しながら前へと圧力をかけるゴロフキンに対し、アルバレスは下がりながら反撃する展開となった。中盤からはゴロフキンがロープ際へ追いつめる場面が目立った。8回にはゴロフキンは右で相手をぐらつかせた。だが対するアルバレスも強烈な右アッパーを返すなど最終回まで激しい攻防が続いた。ジャッジの採点は118―110でアルバレス、115―113でゴロフキン、残る1者は114―114だった。

 試合後のリング上でゴロフキンは「アルバレスは経験豊富な本物のファイターだった。ドラマチックな試合が好きだが、今日はいまいちだった。ご覧の通り、ベルトはすべて僕のもとにある。リマッチはぜひやりたい。本物のファイトを見せたい」と話した。一方のアルバレスは「(ゴロフキンは)うわさほどパワフルとは思わなかった。いつも通りのファイトをした。人々が望むなら、もちろんやる。次は勝つ」とコメントした。



■統一王者ゴロフキンがドロー判定でアルバレスの挑戦を退ける
プロボクシングの注目の一戦、WBA 、WBC、IBF3団体統一のミドル級世界タイトル戦が16日(日本時間17日)、米国・ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われ、王者のゲンナジー・ゴロフキン(35、カザフスタン)が、三者三様のドロー判定で、元2階級王者のサウル“カネロ”アルバレス(27、メキシコ)の挑戦を退けて通算19度目の防衛に成功した。WBAは18度目、WBCは7度目、IBFは4度目の防衛。“トリプルG“”ことゴロフキンは、これで38勝(33KO)無敗。アルバレスは49勝(34KO)2敗1分けとなった。

 2万2000人を超えるファンの大歓声が交錯する中、ゴングが鳴った。
 ゴロフキンが左ジャブを出しながらプレシャーをかける。アルバレスは、左回りでサークリング。ゴロフキンの大ぶりになった右フックを外して、アルバレスが左のボディ。終盤には、アルバレスが足をとめ、その強烈なワンツーに王者が下がる場面も。2ラウンドに入るとアルバレスが逆にパワーを生かして前に出た。ボディをからめたコンビネーションブローに、アッパーがあるので、王者に戸惑いが見える。
 左フックから突破口を開こうとするがアルバレスのガードは固い。

 4ラウンドに挑戦者が左ボディから右フックを連打すると、ゴロフキンは両手を広げて「効いていない」のポーズ。逆にロープを背負わせ王者がパンチをまとめるとアルバレスがクビを横に振ってアピールした。
 両者の意地の火花がバチバチと飛ぶ。5ラウンドもアルバレスがロープを背負わされ、ゴロフキンが連打を浴びせ、右のフックが一発ヒットしたが、アルバレスは「効いていない」と何度もクビを振った。
 それでも4、5ラウンドは手数でゴロフキンか。

 6ラウンドに入りアルバレスは戦いの場をリング中央へと押し戻そうとして右アッパーをヒットさせたが、ゴロフキンは前進を止めない。明確なクリーンヒットはないが、ゴロフキンがジワジワとペースをつかみつつある。細かいパンチを休みなく繰り出す。8ラウンド、王者の至近距離からの右のフックが当たりアルバレスがぐらついた。アルバレスはアッパーを打ち込み一発逆転を狙うが、ゴロフキンを止めることができない。

 10ラウンド。ポイントでは不利と見たアルバレスが勝負に出た。ラッシュをかけ、ショートのワンツーがヒット。ゴロフキンがバランスを崩す。だが、形勢逆転とまではいかない。ゴロフキンは負けずに反撃。11ラウンドは、ゴロフキンが逆に前に出てきた。アルバレスは打ち疲れもあるのだろう。

最終ラウンド。アルバレスが最後の力をふりしぼり、インファイトを仕掛けてパンチを集中した。右がヒット。だが、ゴロフキンも耐える。もう逆転KOするだけのパンチは残っていなかった。35歳のゴロフキンは、手を出し続けて前進、そして、前進。観客が総立ちの中で、激しい打ち合いが続き、試合終了のゴング。両者は、共に右手を突き上げて、自らが勝者であることをアピールした。判定は、一人が118-110でアルバレス、一人が115ー113でゴロフキン、一人が114-114の三者三様のドローで注目の世紀の一戦は痛み分けとなった。ドローは王者の防衛のため、ゴロフキンが3つのベルトを守った。

 試合後、リング上のインタビューで、ゴロフキンは晴れ晴れとした表情。

それでも「カネロは、経験がある本物のメキシカンのファイターだったが、ドラマティックなショーができなかった。きょうは、もうひとつだった」とディフェンスに回ったアルバレスを批判した。

 一方、アルバレスも自らの戦いの満足していない様子だったが、「トリプルGは、試合前の噂ほど、すごいボクサーとは思わなかった」と反撃した。

 不完全決着となったことで、早くも再戦を望む声が出ているが、ゴロフキンは、「もちろん戦いたい。今度は本物のファイトを見せたい」と再戦を受けて立つ構え。一方のアルバレスも、「ファンが再戦を望むなら、もちろんやるよ。次はもちろん勝つ」と、リマッチを熱望した。

 この試合の契約には、条件つきで、リマッチ条項があるとされている。

■ゴロフキン対カネロは内容は“年間最高試合”も疑問符
試合後のインタビューの際、サウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)に注がれたブーイングが、すべてを象徴していたのだろう。この日、米国ラスベガスのT−モバイル・アリーナに集まった2万3358人の観衆の大半はカネロと同じメキシコ人。つまり、多くの人々は母国のヒーローに辛辣(しんらつ)だったということだ。

 現地時間9月16日に行われたプロボクシングのWBA、WBC、IBF世界ミドル級タイトルマッチで、王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)と元WBC王者のカネロはフルラウンドにわたる熱戦を展開した。結果は118−110でカネロの勝利が1人、115−113でゴロフキンの勝ちが1人、114−114が1人という3者3様のドロー。ゴロフキンのデビュー以来続いた連勝(37勝33KO)はストップし、アルバレスのタイトル奪取もかなわなかった。

「私が勝ったと思った。私の方が優れていた。少なくとも7、8ラウンドは制していたと思う。カウンターでゴロフキンをふらつかせることができていたからね」

 カネロはブーイングの中でそう語ったが、本当に自身の勝利を信じられていたかどうか。序盤こそスピードで勝るカネロがアウトボクシングを展開したが、3回以降はゴロフキンが強烈なジャブ、着実なプレッシャーを利して主導権を掌握。35歳になったゴロフキンにもやはり全盛期の迫力はなかったが、それでも下の階級上がりのカネロに対してサイズ、パワーで明らかに上回った。

 10回以降はカネロも懸命に反撃したものの、すでにパンチには力がなく、劣勢を挽回する決定的なパンチは不発。結果として、常に自ら試合を作り続けたゴロフキンが明白な判定勝利を手にしたかと思われた。ところが――。

試合後の会見では、特に118−110でカネロの勝ちにつけたジャッジのアドレイド・バード氏の技量に関して話題が集中した。10カ月前のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)対ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)戦の際、興行を主催したトップランクは、評判の悪いバードをジャッジから外そうとした経緯があったという。そんないわく付きの人物がこれほどのビッグファイトで起用され、案の定、常軌を逸した採点が出た。それゆえに、ネバダ州コミッションの管理に改めて疑問が呈される結果になったのだ。

 断っておきたいが、ファイト自体は“年間最高試合候補”の声が挙がるほどの大熱戦だった。そして、4〜11ラウンドはやや劣勢であり続けたものの、その中でも糸口を探し求めたカネロの頑張りが目立った一戦でもあった。

 まるでターミネーターのように前に出てくるゴロフキンのプレッシャーの前に、中盤以降のカネロは絶えずロープを背負わされての攻防を余儀なくされた。そんな状態でも、カウンターパンチと巧みなディフェンスでサバイブ。特にロープ際でもクリーンヒットをなかなか許さなかったディフェンスは前評判以上で、着実な成長を印象付けた。

 一時はガス欠を感じさせながら、10ラウンド以降は脚をふらつかせながら懸命に反撃して最終ラウンドを締めくくったのも印象的だった。160パウンド(72.57キロ)のミドル級リミットでは初めての1戦で、カザフスタンの怪物相手にこれだけやれれば大したもの。前戦まで23試合連続KOを続けた怪物に判定負けを喫したところで、評価は決して下がらず、むしろその健闘をファンに称えられていたはずだ。

 しかし、このような微妙な判定が出てしまうと、守られた形になった選手にブーイングが注がれるのもボクシング界の常。現場の人間の大半は2〜6ポイント差でゴロフキン勝利を支持しており、筆者も含め、116−112と見たメディアが多かった(少数ながらドロー、さらに少ないがカネロがきん差で勝利と見た王手メディア、関係者もいたことは記しておきたい)。そんなファイトが引き分けになったがゆえに、これもアンチも多い人気者の宿命か、カネロはしばらく厳しい目にさらされることになる。そして、ボクシングにはつきものとはいえ、これほどの好試合が判定問題とともに記憶されてしまうことがやはり残念でならない。

■2人は早期リマッチを希望
“2017年最大の一戦”と称されたビッグファイトを終え、結局はミドル級の覇者が生まれなかった。宴の後で、“痛み分け”の形になった両ファイターはそれぞれ再戦希望を述べている。

「もちろんリマッチしたい。次こそ本当の試合がしたい」(ゴロフキン)

「人々が再戦が見たいなら、答えはイエスだ。彼が勝ったわけではなく、引き分けだ。2試合目が行われたところで、私が勝つよ」(カネロ)

 ミドル級周辺にはほかにもミゲール・コット(プエルトリコ)、デビッド・レミュー(カナダ)、ダニエル・ジェイコブス(米国)、WBO世界ミドル級王者のビリー・ジョー・サンダース(イギリス)といった強豪がおり、ゴロフキンとカネロのダイレクトリマッチはないかもしれない。また日本時間10月22日の村田諒太(帝拳)対アッサン・エンダム(フランス)の勝者、ミドル級に転向したばかりの元世界スーパーウェルター級王者ジャモール・チャーロ(米国)まで含め、戦線はより活性化しそうな予感も。ただ、カネロ側は再戦オプションを保持しており、“ゴロフキン対カネロ2”がそれほど遠くない将来に実現しても不思議はない。

■再戦があるなら誰もが納得する環境で
すっきりしなかった第1戦の後でも、このカードこそが興行面で依然として業界最大。カネロはミドル級の準備、戦いにも徐々に慣れるだろうし、ゴロフキンは来年4月には36歳とさらに加齢する。このようにカネロ側にとってポジティブな材料が少なくないだけに、再戦の引き金を引く可能性は高そうだ。そして、あくまで個人的な思いだが、リマッチがあるなら、カネロにとって“ホーム”であるラスベガスではなく、異なる環境で行って欲しいと願わずにはいられない。

 カネロ陣営はすでに米国東海岸進出希望を述べており、特に“殿堂”と呼ばれるマディソン・スクウェア・ガーデンは格式的にもミドル級のメガファイトには最高の舞台。旧ソ連系移民の多い“ゴロフキン寄り”のニューヨークに自ら飛び込めば、カネロは再びリスペクトも得られる。だとすれば――。

 ミドル級頂上決戦のリマッチは、ボクシング界の信用が問われるイベントであり、カネロがプライドを取り戻す舞台。そんな重要なファイトが、まずは早期実現することを祈りたい。そして、再びのエキサイティングな試合内容とともに、今度こそ誰もが納得する結末が出ることを望んでいるファンは多いはずである。

■ミドル級頂上決戦ドロー
「ミドル級頂上決戦」は引き分けに終わった。3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(35=カザフスタン)と挑戦者の元2階級制覇王者サウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)の一戦は判定に持ち込まれ、1-1(115-113、110-118、114-114)の引き分けとなった。

防衛を果たしたゴロフキンは、「彼は経験豊富な本物のファイターだった。私は本物のファイトが好きでドラマチックなショーがしたかったが、今日はいまひとつですね」と試合後のリング上でコメント。アルバレスは「うわさほどすごいとは思わなかった。私は勝ったと思った」と悔しがった。両者とも再戦を望んだ。

試合は前に出てプレッシャーをかけるゴロフキンを、足を使ってアルバレスが迎撃する展開が続いた。アルバレスがロープを背負いながら、誘い込むように打ち合いを求めて会場を沸かせる場面もあったが、次第にゴロフキンの攻勢が目立つようになった。獲物を狩るように前傾姿勢で、時には駆け足で追い詰め、強打を間断なく打ち込み続けたが、決定打をさける守備技術を見せるアルバレスを仕留める事はできなかった。


■村田諒太が「ゴロフキンの魔法は解けている」
3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(35=カザフスタン)と挑戦者の元2階級制覇王者サウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)で争われ、引き分けに終わった「ミドル級頂上決戦」について、テレビ観戦したWBA同級1位村田諒太(31=帝拳)は「舞台は特別ですが、実力が抜きんでているかというとそうでもないというのが感想」と述べた。
採点については115-113でアルバレス。「クエスチョン(がつく)ラウンドだらけ。おまけでカネロというのが多かった」と振り返った。ラウンドの開始1分は攻勢に仕掛け、残り2分は守勢に回るアルバレスと、ラウンド全般を通してプレッシャーをかけ続けるゴロフキンで、どちらを優勢と取るかは判断の難しいところだった。
ただ、17戦連続KO防衛が止まる判定勝ちとなった3月の前戦に続き、今回は引き分けと成績が「下降」するゴロフキンについては、「下っていると思っている」ときっぱり。「だからカネロも受けたと思う。魔法は解けている」と実感を述べた。
自身は10月22日にWBA世界ミドル級タイトルマッチ(両国国技館)で王者アッサン・エンダム(フランス)と再戦が待つ。「どこがゴールと決めないで、1戦1戦やるしかない。立ち止まってられないですね」と話した。