WBO世界スーパーウェルター級王座決定戦 | ミゲール・コット vs 亀海 喜寛


■亀海喜寛が米国でビッグマッチ! 村田が「日本史上最大の試合」と期待
元日本スーパー・ライト級、東洋太平洋ウェルター級王者の亀海喜寛(帝拳)が8月26日、米カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターで、元4階級制覇王者のミゲール・コット(プエルトリコ)とWBO世界スーパー・ウェルター級王座決定戦を争う。現地時間5月31日、ロサンゼルスで開かれた記者会見に両選手が顔をそろえ、早速フェイスオフを披露して前景気をあおった。

世界屈指の人気と知名度を誇るコットの相手に亀海が抜擢された。これがいかに大きな意味を持つのか。5月20日のWBA世界ミドル級王座決定戦で、日本人金メダリストとして初の世界王者、日本人として2人目のミドル級世界チャンピオンを目指し、不可解判定に泣いた村田はフェイスブックで次のように表現した。
「こんな心躍るカードが決まるなんて、正に日本人史上最大の試合かもしれません」
村田にこう言わしめる理由は、この試合が世界的にも層の厚い、つまりは日本人には難しいと言われるスーパー・ウェルター級(ミドル級の一つ下)の世界タイトルマッチであること、そして対戦相手が当代のスーパースター、ミゲール・コットだからに他ならない。
コットは1試合で10億円以上稼ぐ世界屈指のスター
コットはデビューからアメリカを主戦場とし、2004年に初めて世界チャンピオンになってからスーパー・ライト級王座を6度、ウェルター級王座を4度、スーパー・ウェルター級王座を2度防衛した。優れたテクニックと攻撃力で好ファイトを連発し、トップスターのマニー・パッキャオとは09年、フロイド・メイウェザーとは12年、サウル“カネロ”アルバレスとは15年に対戦。いずれも敗れはしたものの、ペイ・パー・ビューの売り上げは大きく、1試合で10億円以上のファイトマネーを何度も稼ぎ出している大物ボクサーなのだ。
この話を最初に海外の関係者から聞いた亀海は「何言ってんだこいつ。夢見るのもたいがいにしろ!」と我が耳を疑ったという。それほどコットは別格というわけだ。

■日本で敵なし、アメリカで実力磨く
亀海は北海道出身の34歳。札幌商業高(現・北海道学園札幌高)でインターハイ優勝、帝京大学に進学後は国体と全日本選手権を制するが、前出の村田などに比べれば、アマチュア時代の注目度はそれほど高くはなかった。

2005年のプロ転向後は連勝を重ね、10年に日本スーパー・ライト級王座を獲得。自らトランクスに記した“マエストリート(小さな教授)”というニックネーム通り、頭脳的と評されるボクシングで国内敵なしを証明した。
無敗のまま満を持して11年に米国進出を果たすが、そこからの道のりは平たんではなかった。2戦目で引き分け、3戦目でプロ初黒星を喫し、これまでアメリカで残した戦績は3勝3敗2分。それでも亀海は持ち前の頭脳的なスタイルに、前に出て相手をつぶしていくような攻撃力を加え、徐々に「亀海の試合は盛り上がる」というイメージを本場のファンに浸透させていく。

■昨年の試合が年間最高試合にノミネート
その結果、昨年4月にドローに終わったヘスス・ソト・カラス(メキシコ)との一戦は、全米ボクシング記者協会が選ぶ年間最高試合賞にノミネートされるほどの反響を呼んだ。知名度のまだまだ低い亀海がコットの相手に抜擢されたのは、アメリカで地道にファンの信頼を獲得した結果なのである。

とはいってもコット戦が決まり「亀海ってだれだ?」の声が聞こえてくるのも事実だ。拳を交えてきた相手、踏んできた舞台の大きさから考えれば、あくまでこの試合はコットの1年9か月ぶりの復帰戦にすぎないだろう。しかし亀海が、いままでの日本人選手であれば、決して手にすることのできなかった大きなチャンスを、自らの手でつかんだのは紛れもない事実。日本のボクシング界にとって大きな一歩が今、踏み出されようとしている。

亀海は「コットは世界チャンピオンになる前から見ていて、憧れの選手だった。でも今は勝つイメージしかない。アップセット・オブ・ザ・イヤーを狙う」と力強く宣言。コットもキャリアの総仕上げの段階にきているだけに、亀海の世界を驚かせる“番狂わせ”に期待せずにいられない。勝てばまさにアメリカン・ドリームだ。


■涙が止まらん! 亀海TKO勝ち!! ソト・カラスとの再戦を制してS・ウェルター級に名前を刻む。
2016年9月10日(日本時間11日)に米・カリフォルニアイングルウッドにあるザ・フォーラムで行われたS・ウェルター級10回戦。元東洋太平洋ウェルター級王座の亀海喜寛がヘスス・ソト・カラスと対戦し、大激戦の末に8R終了TKOで勝利を飾った。

両者は2016年4月の対戦で引き分けており、ダイレクトリマッチとなった今回、亀海が見事決着をつけた形である。

「亀海惜しくもソト・カラスとドロー!! 勝ったと思ったけどな。でもいい試合だった」

これで戦績を27勝3敗2分(24KO)とした亀海。ロマゴンvsクアドラス戦のセミファイナルという大舞台で、米国のファンに強烈な印象を残したことは間違いない。次戦以降、大チャンスが巡ってくることが期待される。

スピード&パワーのS・ウェルター級で、日本人ボクサーが王座を奪還する日は来るのか。33歳で今なお進化を続ける亀海喜寛の今後に注目である。


■亀海VSソト・カラス!称賛
米国ロサンゼルスで行われたSウェルター級10回戦、亀海善寛VSヘスス・ソト・カラス。ゴールデンボーイプロモーションズ、名物記者ダン・ラファエル、ジャーナリスト、ファンはどのように見たのか?
初回のゴングが鳴った瞬間から両者ともにアグレッシブなボクシングを展開。予想どおり激しい一戦になることを確信させるものだった。
亀海の動きはというと、試合前のリラックスした様子そのままに、硬くなることなく非常にいい動き。2Rには「この試合はいける」と予感させた。
前半4R、5Rだったか、放映するテレビ局の採点が画面に映り、全てのラウンドがソト・カラスに振られていることに愕然とする。確かに、亀海は足を残したまま上体で相手のパンチを殺し、すぐさま打ち返すボクシングを展開するために見栄えは少し悪い。それにしても敵地の厳しさを改めて実感させられた。
後半に入り、前半からしつこく攻めたボディー攻撃が効果をあらわしてきたのか、ソト・カラスが目に見えて失速。終盤は亀海のパフォーマンスが明らかに上回った。
採点の瞬間に息をのむ。最初に発表されたジャッジの採点は亀海。続いてソト・カラス。この展開はドローか?亀海の勝利をアナウンスしてくれと願ったが、やはり最後のジャッジは引き分けだった。1-1のドロー。それでも、敗者なきリングには大きな拍手が送られた。

試合後には、互いに「相手は本物の戦士だった」と称え合っている。


■亀海VSソト・カラス、激闘に対する海外の反応は?
ゴールデンボーイプロモーションズ(プロモーター)
この試合を組んだゴールデンボーイプロモーションズは、Twitterで「It’s a draw! Give it up for these two warriors who went to war. Who’s ready for the rematch? #LAFightClub」と発信。再戦実現に向けて前向きであることを示唆した。
ゴールデンボーイプロモーションズのTwitterには、リングマガジンのTwitterも反応。「ことし、これまでの試合の中で最もすばらしいファイトだった。HBOの素材だ。この試合を組んだゴールデンボーイプロモーションズもすばらしい」とつぶやいた。

■ダン・ラファエル(ボクシングライター)
ボクシング界の名物記者、ESPNに寄稿するダン・ラフェル氏は試合の経過を興奮気味に発信。
記者らしく、2Rに亀海が右目付近を切ったこと、バッティングが原因であることなど、重要なポイントごとにレポートする。10R開始時には、両者にスタンディングオベーションが送られたことを伝えるとともに、判定になればドローか否か。「私は亀海が優勢だと思う」と独自の見解を示す。
実況Tweetの最後は、判定結果を伝えるとともに、文末に「REMATCH!」とつけ加え、一言で試合のすばらしさを表現してみせた。

■スティーブ・キム(ボクシングジャーナリスト)
Twitterに激闘の様子を示すさまざまな写真を載せた後、「今夜のベラスコシアターに敗者はいない」と発信。

■ファンの反応
ゴールデンボーイプロモーションズのインスタグラムやbadlefthook.comの記事に寄せられたコメント、Twitterなどを見ると、
「私は96-94でソト・カラスだ」「俺は96-94で亀海だった。でも、ドローで問題ない」といった採点に関するコメントから、「クリーンファイトだった」という声が上がり、特に「HBOにふさわしいクオリティーだった」「リマッチはHBOで組まれるだろう」といった再戦を求める声が目立っていた。

データ上は亀海が優位だったようだ。
すばらしい試合を見せてくれた両者に感謝。リマッチを初めとするさらなるビッグマッチの実現を!亀海の今後に期待します。

■亀海喜寛vsヘスス・ソト・カラス
和製メイウェザーから和製ロマゴンへと華麗なる転身を果たした亀海喜寛と壊れかけのヘスス・ソト・カラスの5ヶ月ぶりの再戦。ちなみに両者、ノーランカーだ。

素晴らしいパフォーマンス、ボクシングを見せた亀海。
まともなパンチの交換が何一つこなせず敗れ去った先日の小原の例を見て分かる通り、この攻防のテクニックは重いクラスの日本人選手としては出色。

肩を入れ替えるブロックとムービング。寸でのところでソトカラスのパンチを殺しながらステップを切り、重心を入れ替え顔面ボディへエッジーなフックアッパーをリターン。パワーパンチに加え間を埋める鞭のようなジャブからワンツーへの繋ぎでソトカラスを圧倒。
前戦より無駄がなくなり攻防ともに纏まった印象でポジショニング面でも有利なポジションを常に専有。以前は空打ちしていたボディパンチも今回は相手を正中線に捉えてパワフルに打ち込む。

時のPFPに影響され構築したスタイルであることは明白だが類似点は攻防のパターンとタイミングのみ。実は本物の方とは真逆でパンチもポジショニングもリアクティブな性質が強く相手の手筋や出方に強く依存するボクシングで攻防両面において殆ど選択肢がないという穴があると思う。
しかし形だけを見様見真似でフォームだけ模倣していたメイウェザースタイルより余程筋金が通っているな。この向上心は、実際の向上は素晴らしい。

さて、前戦記事で再戦不要と、ハイパフォーマンスだがそもそも根底にミスがあると書いた。
チャーロ兄弟、ララ、クルカイにリアム・スミス。このスタイルで勝てる相手は?

■亀海が再戦のソト・カラスをTKO
米国リングを中心に活躍する元東洋太平洋ウェルター級王者の亀海喜寛(帝拳)が10日、米ロサンゼルス郊外の「ザ・フォーラム」で行われた、3階級制覇王者のローマン・ゴンザレス(ニカラグア)とWBC世界Sフライ級王者のカルロス・クアドラス(メキシコ)戦のアンダーカードに出場。世界挑戦の経験を持つ元WBC米大陸同級王者で、前回4月に引き分けたヘスス・ソト・カラス(メキシコ)と再戦し、見事な8回TKO勝利を飾って、ロマゴンの4階級挑戦に注目が集まるリングで自らの存在感をアピールした。

 亀海と言えばその迫力ある豪腕だが、序盤から左のボディーブローがソト・カラスの脇腹を何度もえぐり、このボディー攻撃が勝機を作った。右の強打、特にアッパーが良いタイミングで入り、終始ボディーを打ち続け、ソトを着実に削っていく。一方のソト・カラスも粘り強く手を出し、試合は両者近距離での激しい打ち合いが展開され、見応えある好勝負となった。

 7回でソトは完全にボディーを効かされて亀海がダウン寸前まで追い込むと、ソト・カラスは踏ん張ってカウンターを返すが、ダメージは濃厚。8回に亀海が左のボディーから右のアッパーへ繋げ、ソト・カラスからダウンを奪う。試合は再開されたものの9回が始まる前にソト陣営が試合を棄権、亀海の8回TKO勝利が確定した。これで亀海の戦績は32戦27勝(24KO)3敗2分。

 日本では屈指のハードパンチャーとしてKOの山を築き、無敗のままSライト級の日本王座を獲得し、期待の逸材として注目された亀海。その後ウェルター級に転向し、米国のリングに上がり始めたが、元WBA世界Sライト級暫定王者のヨハン・ペレス(ベネズエラ)や元4階級制覇王者のロバート・ゲレロ(米国)ら大物相手に奮闘するも判定負けを喫し、世界の厳しさを身をもって経験した。

 日本人で初めて米国のメジャープロモーション「ゴールデン・ボーイ・プロモーションズ」と契約するなど、本場・米国のリングで世界挑戦を目指す亀海にとっては、HBOを通じて全米放映されたこの完璧な勝利は、価値ある1勝となったはず。強豪ひしめく階級だけに世界の壁は高いが、アメリカの地で夢を追う亀海の挑戦を応援したい。

■亀海、8回TKOでソト・カラス撃破!
◆プロボクシング ▽スーパーウエルター級(69・8キロ以下)10回戦 〇亀海喜寛(TKO 8回終了)ヘスス・ソト・カラス●(10日、米カリフォルニア州イングルウッド ザ・フォーラム)

 元東洋太平洋ウエルター級王者・亀海喜寛(33)=帝拳=が、世界挑戦経験があるヘスス・ソト・カラス(33)=メキシコ=とのスーパーウエルター級ノンタイトル10回戦に臨み、8回終了TKO勝ちをおさめた。ソト・カラスとは4月に引き分けており、今回はダイレクトリマッチとなったが、見事にKOで決着をつけた。

 亀海は初回からボディー攻撃で主導権を握った。ソト・カラスに反撃される場面もあったが、負けじと攻勢に出た。8回に強烈な右アッパーでソト・カラスがふらついた。なおも亀海が追いかけ左、右とヒットするとダウンを奪取。何とかこの回は乗り切ったソト・カラスだったが、9回が始まる直前に陣営が棄権を申し出た。亀海の戦績は27勝(24KO)3敗2分け、ソト・カラスは28勝(18KO)11敗4分け1無効試合となった。


■日本ボクシング史に残る一戦に臨む亀海が番狂わせ起こすため「フルアクションで」
プロボクシングのWBO世界スーパー・ウェルター級王座決定戦が現地時間26日(日本時間27日)、米国カリフォルニア州のスタブハブ・センターで行われる。

 同級1位で元4階級制覇王者のミゲール・コット(プエルトリコ)と、同級5位の亀海喜寛(帝拳)が激突するこの一戦。日本人の中量級選手が、世界のトップスターとどんな戦いを見せるか大注目だ。

 今回は大一番を迎える亀海にインタビューし、現在の調子や気持ちなどを聞いた。
コットへのオファーは「冗談だと思っていた」

――いよいよ世界初挑戦です。どのタイミングで知りましたか?

 帝拳ジムには、2月中に話は来ていたみたいですが、僕が聞いたのは3月上旬です。3月上旬に聞いてから、正式発表までは少し時間がかかりました。

――初めから相手はコットだった?

 ヘスス・ソト・カラス(メキシコ)とのリマッチ(9月/8回終了TKO勝利)を勝って、向こうのマッチメーカーが「次はコットにオファーを出すよ」と言ってくれていたんです。何を言っているんだと。冗談だと思っていたんですけど、それが通ってびっくりしました。

――疑っていた?

 疑っているというか、あと2、3勝それなりの相手に勝たないと、HBO(米国のケーブルテレビ局)が許可しないだろうなと思っていました。帝拳とゴールデンボーイ(米国のボクシングプロモーション会社)がうまくやってくれ、通りました。

――正式に決まったのを聞いてどうだった?

 本当に幸福でしかなかったのですが、それまでは精神的に大変でした。あいつと対戦するかもとか、変なデマが出るんですよ。教えられてからずっと。海外のサイトとかにも情報が出ますから、本当に悩みましたね。
 気にしないようにしていても、いろんな人から情報が入ってくるので。ほっといてくれと思っていました。1回、ロックネーション(コットの前所属ジム)とコットが離れるから話がなくなったというニュースが出て……。ゴールデンボーイがコットと契約するから決まるよと言われてましたが、気が気でなかったです。
とにかく相手の心を折りたい

――コット選手はどんな存在?

 アマチュアの20歳くらいの頃から彼のことは知っていました。彼はそのくらいに初めて世界タイトルを獲っていましたから(※2004年、WBO世界スーパーライト級王座獲得)。本当にアイドルでしたね。
 彼はキャリアとともに階級を上げるに従って、ボクシングスタイルを変えたり名勝負をして今があるわけですから、本当にアイドルでした。

――いち視聴者としてコットは好きだった?

 本当に大好きでした。すごく参考にもしていましたし。ファンとして見ていました。

――どの部分が好き?

 彼のキャリアも非常に長いので、一概には言えないのですが、本当にうまいし、決定力もあるし……一つには絞れないです。

――亀海選手の流れと似ている部分があって、始めはディフェンシブで、鉄壁と言われ、そこからだんだん攻撃的なタイプになってきたと言われています。共通項はある?

 確かにありますね。彼の場合は、ミドル級にあげて最初のカネロ戦(サウル・アルバレス/メキシコ、15年11月)はやりにくい、少しディフェンシブなボクシングになっていますし、無理して打ちにいかないなと今は感じますね。

――今の亀海選手のストロングポイントは?

 変わってないのは、とにかく相手の心を折りたいと思ってリングに上がっています。相手にギブアップさせようと思っています。ハートの強さでどんどん前に行くのが自分のストロングポイントですね。ハートの強さでどんどんアクションを起こすというのが、米国でも評価を受けていると思います。

――打ち合うスタイルに変えた理由は?

 日本王者になったくらいに、このままでは上に行ったらダメだなというのは分かっていたので。国内の評価はものすごく高かったですけど、「変えないと」と思っていました。初防衛くらいから意識はしていました。10年10月のホセ・アルファロ戦では意識してました。

■一生覚えてもらえるような試合で勝てるのが最高のシナリオ
――今回のコット戦は日本ボクシング史に残る一戦だと思うが、自身はどう思っているか?

 非常に大きな挑戦であることに変わりはないですが、コットにとってはチューンナップファイトになるかもしれません。彼はそうとらえている可能性がありますから、それをひっくり返すつもりしかありません。ビッグアップセットを絶対起こしてやるという感じです。

――アップセットを起こすためにはどんな展開に?

 それこそ、ほぼ決まってはいますが、フルアクションで。すっと激しい試合にしないとダメだなと思っていますね。

――コットもいい感じできてほしい。

 勝てればどうでもいいです。(笑)
 TKOだろうがなんだろうが、勝てればいいです。ただ、面白い試合、応援してくれる人たちに一生覚えてもらえるような面白い試合で勝てるのが最高のシナリオですが、勝てればいいです。(笑)
世界タイトルよりも勝利が欲しい

――会見でコットと視線を合わせてどんな印象だった?

 近くでにらみ合うのがあまり好きではないんですが(笑)、小さいなとは思いました。
 身長も骨格も大きくはないですし、あれでミドル級を取れたのはすごいと思います。本当に小さいです。

――亀海選手にとって、コット戦はどんな意味を持つか?

 世界タイトルも取れるなら非常に重要ですが、それよりもはるかに大きな挑戦ですし、世界タイトルよりも勝利が欲しい戦いです。彼に勝つ、それだけが欲しいものです。世界タイトル獲得よりもはるかに上です。

――今の段階で自信はどれぐらい?

 決まったときのほうが自信はありました。不安はありますけど、どんどんコンディションは良くなっているし、どうかなと考えていた時期から、自信もさらにまた上がってきています。

――どんな試合を見せたいか?

 ファーストラウンドからラストラウンドまでフルアクションで観客が総立ちの試合で勝つのが理想ですね。


■亀海喜寛「絶対に超えたい」
ボクシングのWBO世界スーパーウエルター級5位亀海喜寛(34=帝拳)が20日、世界初挑戦へ向けて成田空港から渡米した。26日に米カリフォルニア州カーソンで、元4階級制覇王者の同級1位ミゲル・コット(36=プエルトリコ)との王座決定戦に臨む。20歳の頃に、コットが王者になるからあこがれだったヒーローとの激突で、大番狂わせを狙う。

 3月には対戦の話が出たことで「長い時間ハードトレができた。いつもの試合よりもしっかり準備ができた」と話す。日本より遅い時間ゴング予定に、ロードワークは夜にこなし、睡眠も遅くして調整してきた。「前回うまくいった」という時差ぼけ対策もある。機中は寝ずに過ごし、到着後も夜まで寝ないという。「我慢して気合で寝ない」。海外経験も豊富で準備には抜かりないが、試合も我慢と気合の戦いになるはずだ。

 海外で名を上げていった亀海だが、キャリアでは圧倒的に劣る。「フルアクションでプレッシャーをかけ、気持ちを折ることしか考えていない。厳しい試合になる。激しい試合でないと勝ち目はない。ラッキーは当てにしない」と闘志を秘める。

 33戦目で世界初挑戦となるが「ベルトはとったらうれしい。魅力だが、価値観がかわってきた。ビッグネーム、ビッグマッチに勝ちたい。コットに勝つことが大きい。絶対に超えたい」と決意を披露し、田中トレーナーとともに機上の人となった。


■亀海喜寛が抗ったボクシングの常識。
WBO世界スーパー・ウェルター級王座決定戦が26日(日本時間27日)、米カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターで行われ、同級6位の亀海喜寛(かめがい・よしひろ/帝拳)は元4階級制覇王者で同級1位のミゲル・コット(プエルトリコ)に0-3判定負け。世界で5指に入るスター選手から金星を奪うという夢は叶わなかった。

 現地で取材した記者によると、フルラウンドの攻防を終えた亀海は、本当に悔しそうに言葉を絞り出したという。

「偉大なファイター(コット)と戦いましたが、俺はただただ勝ちたかったんです。本当に欲しかったのは勝利なので……」

 日本国内での認知度はあまり高くはなかったが、この試合は日本ボクシング史の中でも特筆すべきビッグチャレンジだった。対戦相手のコットは、4階級制覇を成し遂げた実力に加え、世界的にファンの多い人気選手。フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、サウル・アルバレスといった当代のスター選手と拳を交え、1試合で18億円を稼ぎ出したこともある。

 そんなコットに勝利するということは、パッキャオやアルバレスといった超一流のクラスと対戦できるポジションを手に入れることを意味する。すなわちコット戦は世界のボクシングの中心に立つ戦いだった。どんな偉大な日本人世界チャンピオンであっても、世界のボクシングの中心に立った選手はいない。そういう意味で、この試合は歴史的だったのである。

世界王者よりも、ビッグネームに勝つことを目標に。

 試合は、亀海の勝利への気迫がビシビシと伝わってくる立ち上がりだった。体格で大きく上回る亀海がグイグイと前に出て、左ボディブローをコットに打ち込んでいく。「最初から最後までフルアクションで攻めていく」。日本で練習していたとき、何度も言葉にしていた通りのスタートだった。

 亀海が無敗のまま日本王座を獲得し、国内敵なしを証明して、アメリカのリングを初めて踏んだのが2011年のこと。以来、このボクサーは「世界チャンピオンになること」よりも「海外で勝つこと」、「海外でビッグネームに勝つこと」を重視して、己を磨いてきた。

36歳の王者のスタミナ切れを狙っていたが……。

 アメリカでの戦績は3勝3敗2分。決して最初からうまくいったわけではない。その間、守備的だったスタイルを大胆にも攻撃的に変え、最初から最後まで攻め続けるためのスタミナを強化した。すべては海外で勝つために考え出したことだった。

 亀海のすべての思いが込められた初回の攻防は、我々に大きな期待を抱かせた。しかし、歴戦の雄コットの顔に不安の影が差したのはわずかな時間だった。亀海のプレスをフットワークとボディワークでいなすと、正確なブローを亀海の顔面に次々と叩き込む。コットは2回以降、ラウンドを重ねるごとに調子を上げていった。

 とはいえ、36歳のコットはこれがアルバレス戦以来1年9カ月ぶりの試合であり、圧力をかけ続ければ、後半は必ず落ちてくる。亀海陣営はそうにらんでいた。

「捕まえられないとは思っていない。コットも自分のような圧力の強い選手と試合をしたことはないですから」

 そう話していた亀海だが、中盤に上腕部に疲れが生じてしまい、足は前に出ているものの、思うように手数が伸びない事態に陥る。何とかしようと距離を詰めるとコットのパンチを被弾するという悪循環。結局、最後まで展開を変えることができず、亀海は打たれ強さと強靭なハートをアピールしたものの、勝利を手にすることができなかった。スコアは120-108、119-109、118-110。完敗だった。

日本では、重いクラスの選手が歓迎されないことも。

 日本では、中量級以上(主にライト級以上)の有力選手が歓迎されないことがある。国内の選手層が薄い重いクラスの選手は、練習相手を見つけるのも、対戦相手を呼ぶのも、軽量級よりは困難を伴うことが多い。世界との実力差も大きく「重いクラスの選手は苦労したところで世界チャンピオンになれない」と敬遠する向きがあるのだ。

 亀海はそうした“常識”に強く反発し、アメリカをベースにしてチャレンジをし続けた。もちろん資金力のある帝拳ジムの選手だからできるチャレンジではあるが、重いクラスの多くの選手に夢と希望を与えていることは間違いないだろう。

「俺はもっと強くなって戻ってきます。ビッグネームに勝ちたいというのが俺のモチベーションです」(亀海)

 コットという大魚を逃したことが、さらなる成長につながるのか。亀海の戦いはまだ終わらない。