不良少女とヤンキーとギャルの、オタク作品内での深化というかデレマスすごいよね(その1)

ブログはじめてからずーっともやもや考えてたんですよね。
オタク文化圏の中の「不良少女」「ヤンキー」「ギャル」像がものすごい変わったなあと。
多分00年代以降です。10年代に入ってからは変化しすぎて別物になってる。
 

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先に言います。
シンデレラガールズってすごいよねという結論ありきです。
というかあらゆる属性全部テンプレ化して、萌え記号にした集大成になってる。恐ろしい。
なので、シンデレラガールズは「今オタク界隈で、かつての尖った子たちは、どう見られているか」を知る入り口になると思う。
とりあえずデレマスの向井拓海藤本里奈、城ヶ崎姉妹あたりを軸にしながら、他の作品もごりごり掘りつつ、じっくり考えようかなと。
だからこれは「その1」で。続きます。
 

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今回は向井拓海に至る「不良少女」像。

ちょうどいまデレステでイベントはじまってますね。
「不良少女」像を究極までかわいくした到達点の一つだと思います。
「レディース」が正しいかな。
 
向井拓海に関しては、割りと昔からある「ヤンキー女子はいい子多い」テンプレートから来ていると思います。
不良は小動物に優しい、的な。

アニメ・マンガでどこまで遡るかは、ちょっと難しい。
こういう不良少女キャラは、それこそスケバンが闊歩していた頃からいる。
ただ、時代の変遷で大きく違うのは
・「不良少女」と「ヤンキー」はかつては別物、今はごっちゃ
・「ヤンキー」が持つ信念と暴力性の2つが、限りなく消滅している
の2点。これは「番長」にも通じると思う。
 
向井拓海
「一度決めたらやりぬく思いや仁義は強いけど、そこまで独自の信念はない」
「時代錯誤なんじゃないかと思うような昭和的不良少女記号を多用する(漢字羅列とか)」
「極めて純真で照れ屋でピュア」
この最後をめちゃくちゃ大きくする増幅装置として、ヤンキーが機能している。
 
今のところはですけど。
チャンピオンのマンガ版でどうなるのかちょっと今はわからない。
 

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こういうスタイルのキャラクターは、割りといる気がします。
特に21世紀に入ってからは、気軽に使われるようになりました。少年漫画のスパイス的にヒョロっと。
 
というのも、今「スケバン」的な不良少女が存在しないから。(いなくはないが希少)
おそらく今20歳前後の人だと、学校にはもちろん、現実に見たことないと思う。男子の長ラン短ランボンタンも。
写真と絵でしか見ないよ。いまだと成人式と年末年始にテレビで報道されるくらいか……それでも少ない。田舎のお祭りにもそんなに来ない。
 

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スケバン刑事 (1) (MFコミックス)

コミック版の「スケバン刑事」が出たのが1976年。ドラマが1985年。
もう30年から40年前の話。
スケバン刑事」は「かっこいい」キャラでした。もしかしたら「かわいい」と思っていた人もいたかもしれないけど、基本そういう作りのキャラではない。ヨーヨー欲しかったなー。
花のあすか組! 8 (祥伝社コミック文庫 た 1-8)

花のあすか組」も85年。少女漫画内の主人公不良少女はだいたい「かっこいい」。
 

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で、ここで切り分けないといけないのが、「ヤンキー」と「不良少女」が、少なくとも当時の漫画を描く上では違うこと。
現実はうーん、かつては人それぞれなのでわかんないけど……。
「不良少女」の方が響きとしては古臭い。今「不良」ってレッテルワード自体わりとNGなとこありますしね。
 
「不良少女」は、なんらかの理念を持ってわざととがった行動をする女の子。あるいは心の揺れ動きゆえにぐれちゃった子。
となると「スケバン刑事」は、不良少女。
 
一方「ヤンキー少女」はもっとなだらかで、若気の至りというか、かっこよさを楽しんでいる女の子。
なので、「Dr.スランプ」のあかねちゃんは「ヤンキー」だと思います。これは別途。
 
で、ここでエポックメイキングだったのが「きまぐれオレンジ☆ロード」(1984年)の鮎川まどか
きまぐれオレンジ☆ロード The O.V.A. オリジナル・ビデオ・アニメーション DVD-BOX
彼女はこの2つで行くと、「不良少女」寄りではあるけど、ちょっと違う。「つっぱり」が近いのかも。
きまぐれ天才美少女にして、気が強くけんかっぱやく、思いが張り詰めている。
彼女の「おっかない」要素は、女の子の「ミステリアス」を引き立てる重要なパーツでした。だから次第にキツさは減っていく。
この成長も含めて、男の子たちは夢中になったわけですよ。今でも夢中になるくらいかわいいよ。
「かっこいい」ではなく「かわいい」。彼女の存在が広く認知されたのは、大きな転機じゃないかなあ。
 

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ハイスクール!奇面組」(1980年)の天野邪子は、「不良少女かわいい」をしっかりおさえて作られたキャラ。
というか名前な。もうこの時点でメタ的にネタにしている(奇面組はみんなそうだけど)。
不良=あまのじゃく。ほんとはピュアなんだよって最初に言っている。
彼女の周囲の子「御女組」が割りと雑な描き方になってるので、飛び抜けて天野邪子がかわいくみえるようになってるのも、ずるい。
不良を記号化している。「タバコ」「バイク」「ディスコ」「サボり」「ケンカ」「ラフなスタイル」。
 
このあたりが今「かっこいい」「あまのじゃく(ツンデレの元だ)」「根は純粋」と整理されていき、今の萌えキャラ「不良少女」が誕生していったんじゃないかしら。
 

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こっから印象論です。詳しい人がきっとまとめて自分のブログに書いてくれるでしょうってか誰かまとめて。
80年代後半になるとスケバン・番長的な存在は現実から消え始める。とんがった面々は「ヤンキー」で統一化。チーマーができたのがこのへんかな?
一方で、80年代後半から90年代はバブルが膨れ上がって、派手な衣装の「ギャル」が明確化。もっとも今と違って「ギャル=成人」だった。ボディコンとか。
(「シンデレラガールズ」でいうと、この時期に憧れているのが、片桐早苗さん)
 
90年代には、女子高生のブランド化が加速して(ブルセラが生まれた頃)、「コギャル」の語が流行。
「カッコギャル(格好だけギャル)」なんてのもあった。中学生は「マゴギャル」とか無理に使ってた。
このあたりになると、「ヤンキー」「ギャル」がストリートに出て行って、混沌としはじめる。
ルーズソックス全盛期。だけど、履いてるからといって「ヤンキー」じゃないし、かといって「ギャルではない」とも言い切れない。でも親世代からは「ヤンキー」だし「ギャル」認定されちゃう。
そんな中途半端が許されるようになったと思う。不良少女時代は、格好だけの中途半端なんて、まず許されなかったから。
 

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21世紀に入って「マイルドヤンキー」という言葉が出てからは、ヤンキーの境界線が限りなく溶けている……というのはもうちょっと後で掘るとして。
 
00年代の「ヤンキー」と「不良少女」像をはっきりわけて描いているわかりやすい例が、SKET DANCEかなと。
SKET DANCE モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
メインキャラのヒメコこと鬼塚一愛は、ヤンキー。
金髪で喧嘩が強い。と言っても彼女自身は伝説のヤンキー扱いされるのは嫌がっている。このへんの心の機微はストーリー全体に関わってきます。
不良少女オブ不良少女なのは、吉備津百香。やっぱり伝説の不良扱いされている。作中のキャラもヒメコとの違いはぼんやり判別している。
見るからに古臭い不良なんだけど、すごく上手いのは昭和不良のテイストをいれつつ、きっちり今風の可愛らしさを盛り込んでいること。
ソフトにソフトに、でもかっこよさは残しつつ、ストリート文化とヤンキー文化を少年向きにしあげてたなーと。
 

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で、90年代は漫画・アニメ内では「不良少女」は「純粋な少女」の裏返し、かわいい女の子の表現に転化している気がします。
存在がでかいなあと思うのが、92年のゲーム卒業〜Graduation〜

左下ね。

ギャルゲーの元祖みたいな存在(ときメモが94年)。学校の先生になって生徒を育成するゲームでした。
この中の新井聖美が、反抗的で喧嘩っぱやくてバイクに乗って、という「ザ・不良少女」という感じの子。
もちろん、人情にはあつい。
がっちがちの、よくできた不良少女でした。
 
でも後のギャルゲーでは、不良少女はそんなに多くない。
(一応参考に:【PCゲーム】ヤンキー・不良娘のヒロインが出てくるエロゲまとめ
 

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「オタク」がそもそも、「ヤンキー」と相性が悪い。
クラスの中の「ワル」グループと「オタク」グループは別集団。
意外と仲がいい、なんて個人差はあるけど、少なくとも同集団には成り得ていなかった。
 
となると、特に「ギャルゲー」みたいな、どっぷりはまりこみたい世界においての「ヤンキー」は、タブーに近かった。
幸せな世界を壊される要因は、できるだけ避けたい、というのはもっともなことで。
 
アニメ・マンガではどんどん「不良少女」が、「萌え」化していった。
現実世界にない、幻想の住人だからこそ、取り込めた。
 
まだ90年代から00年代初頭だと、「ヤンキー」「ギャル」を受け入れる下地ができていませんでした。
クラスにまだいるから。ヤンキーに嫌な目に合わされて本当に見たくもないって人もいたから。
「ギャル」も面白おかしいとりあげられかたばかりして、ガングロモンスターみたいな敵扱いで描かれていたこともあります。てかメディアの扱いがそうだったからなあ。
 
ここを打ち崩して、ヤンキー・ギャルキャラが魅力的になり、マンガ・アニメ・ゲームに登場し始めるのには時間がかかったと思います。
少女漫画で「かわいい・かっこいい」を記号として経て、造形としての作りこみがされて、現実のヤンキーとオタクの境界線が曖昧になってまたぐ人(オタクヤンキー)が増えて、ようやく今がある。
 
なので、……「ヤンキー少女」「今で言うところのギャル」はもうちょっと考えたいところ。
やっぱり「シンデレラガールズ」の、藤本里奈、城ヶ崎姉妹が大きな到達点じゃないかな。
 
不良・ヤンキー文化についてはこれが面白いです。
世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析 (角川文庫)
「日本人はキャラ性(人格的同一性を示す記号、キャラクターではない)をきわめていくと必然的にヤンキー化する」「内面よりも行動が重視されることでキャラが立つ」「結果より過程が重要で、今まさに何をなしつつあるかだけが重要」という話はかなり興味深い。
「ほどほどの不幸や、やんちゃだった過去などは、キャラ性をきわだたせる」というのは、本当にマンガやゲームで人物を描くときにでかいパーツなんですよねえ。 
 
 
 
続く。