戦争のかっこよさをゲーム化していく「放課後アサルト×ガールズ」

放課後アサルト×ガールズ(1) (メテオCOMICS)
高田慎一郎作品は前から好きで一通りよんでました。
最近はミリタリー方面に長けた作家。
で、描こうとしているのは「女の子」と「戦争」。
少女が戦っている、という事実が重要。
けれども、戦うってことは女の子がけがをするってことだし、死ぬ可能性もある。
作者は多分そこは求めてないんだと思う。
 
どのくらいのさじ加減にするかは「ククルカン」や「少女政府」で模索していて、ちょっと他と違うスタイルのアクションを描いていました。
相手が人間じゃないから罪悪感は薄い、とかね。
[まとめ買い] ククルカン

いい具合に軽いんですよ。ジメジメした感じが一切ない。
戦闘もものすごく大きく動いているし、銃弾の重みもあるんだけど、カラッとした表現なので苦しさがあんまりない。緊迫感はあるんだけど。
 
「戦争の重さ」と「女の子たちのかわいさ」のさじ加減を調節し続けた一つの結論が、「放課後アサルト×ガールズ」なのかなー?と思って楽しんでいます。
 

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この作品のうまいところは、女の子の命がライフ制なところ。
異世界に飛ばされた女の子たちは、ゾンビっぽいなんかと戦うかどうか迫られる。戦闘を選ぶと4つのクラスが表示される。

アサルト、スカウト、エンジニア、メディック。ここの時点もう完全にゲーム。
で、それぞれのクラスに合わせて、武器や能力が付与される。
ヒロインの綾子が選択したのは、最前線で突撃するアサルト。
能力として、銃をはじめとした戦闘技術を習得。
で、2回まで死ねる
12時間で1回復する。
 
命が3つというより正確にはシールドがなんたらという設定があるようですが、あんまり詳しくは書かれていません。
それよりも3ライフっていうシステムが面白すぎる。
ようはアクションゲームの3機と全く一緒。シューティングの3機設定と一緒。
 
3ってバランスがゲームとしてはちょうどいい。
1機だとさすがに少なすぎる。2機だと凡ミスもあろう。3機なら、1機捨ててクリアの道を選ぶ、という選択ができる。
綾子もこの辺りを理解し、実戦経験がほとんどない中「捨て身」も戦略にくわえ、勝つ方法を模索します。
 

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アサルト以外のクラスにバランス設定があるのも面白い。

ハルカが選んだのはエンジニア。工兵。
最前線は友人の綾子に任せて、補助役に徹する道。
能力として、あらゆる工作技術のほか、アイテムを大量に管理できるようになります。運転もできます。
移動の際は物資をデジタル圧縮し、3トンまで持ち運べます。リソースを元に工作に必要な色んな物を生成できます。
超ベンリ。
その代わり、ライフは1です。

「ゲームみたい なんかオモシロイ」
ほんとこの一言が、作品全てを表現している。
飛ばされた悲壮感もあるし、戦わねばいけない状況に歯向かう子もいる。だけど「オモシロイ」んですよ。めちゃめちゃ自分たち強化されたし、そうそう簡単に死ななくなったし。ミュータント的な特殊能力ではないし、魔法でもない。やっぱり「ゲーム」。
 

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アクションはきっちり。ノリは軽く。
女の子+ミリタリ作品が、もっとも悩む部分です。
血と硝煙にまみれた少女バトルをぶち込むか。
ガールズ&パンツァー」のような謎ルールを作ってスポーツに仕上げるか。
カーボンだから大丈夫、というルールを作った人は天才だと思います。死なないっていう断言だもの。
 
で「放課後アサルト×ガールズ」はそのどちらでもない。
ゲーム的という意味では、どちらかというとスポーツ寄りです。
けれど、死ぬんですよ。
3つ命があるっていっても、3回死んだら本当に亡くなるわけで、完全には気が抜けない。
だけど2回までは死んでも大丈夫という保険がある。あるいは作戦で「死ねる」。
この緊張と緩和のバランスは、今後の話の展開や、女の子の表現方法、アクションの描写を操作しやすいはず。
 

どのくらいルールを定めるかが、作品のあり方自体を左右するんだろうなあ。
コンピューターゲームサバゲーやスポーツにこだわらなくても、たとえばTRPGのスキルシステムを使ったりなど、マンガ・アニメ・小説内ルールで色々応用できそう。
正直一番見たいのは、作家がどのくらい自由に自分のイメージを表現してくれるかなので、読者を説得してねじ伏せちゃうくらいの勢いがあったほうが、オモシロイ。
 
 
 
 
終わり。